【彩本堂店内と盆栽を添えて
提供するコーヒー】
小諸市荒町の旧北国街道沿いに6月、サイフォンコーヒーにこだわったカフェ「彩本堂(さいほんどう)」がオープンする。
開店を前にこのほど、小泉俊博市長らを招いて「内覧会」を行った。
サイフォンコーヒーは、「サイフォン」というガラス製の器具で淹れたコーヒー。
「高温短時間抽出」による香りの高さやすっきりとした後味、理科の実験のような淹れ方や器具の形状などが特徴。
この技術を有したプロは「サイフォニスト」と呼ばれる。
同店のコンセプトは「暮らしの本質を彩る」。
カウンター席では、客の目の前でサイフォニストがコーヒーを淹れる。
そして、小さな盆栽を添えて提供するという独自の演出を施す。
メニューは、5種類のサイフォンコーヒーと、サイフォンで淹れたお茶などを用意する。
店舗は、かつて玩具店だった古い建物。
古木を使用したカウンターを設け、入口付近には盆栽を並べるなど、趣ある雰囲気を意識して改装した。
店を営むのは代表の梅谷匡尚さん(37)、支配人の中山吉伸さん(40)、髙橋寛樹さん(26)。
3人ともサイフォニストで、小諸市に拠点がある「丸山珈琲」の元社員。
梅谷さんと中山さんでサイフォンコーヒーに特化した店の立ち上げを計画し、経験がある髙橋さんを誘ったという。
物件選びなど出店までの準備は、地域団体「おしゃれ田舎プロジェクト」が協力した。
中山さんは、昔からコーヒーが好きだったこともあり、丸山珈琲に入社。
サイフォニストとしての技術などを競う「ジャパンサイフォニストチャンピオンシップ」で3回の”優勝経験”がある。
盆栽とコーヒーのスタイルは中山さんのアイデア。
盆栽を愛でながらコーヒーを飲んだ時に、そのコーヒーの香りを明確に感じたことがきっかけという。
「視覚を通じてそれぞれの感性に響く、新しい香りの伝え方、楽しみ方を研究してきた」と話す。
梅谷さんは山梨出身で、子どものころから小諸にはよく訪れていた。
思い入れの深い地で地域に根差した店と文化を作りたいと、昨年から開店準備を進めてきた。
「歴史でもビジネス面でも、小諸は魅力的だと思う。香りの劇場、香りを楽しんでもらえる空間にしたい」と話していた。