【対談する白石さん(右)と比田井副校長】

 

 今年2月、単独無寄港無補給世界一周ヨットレース第9回「ヴァンデ・グローブ」を、アジア人で初めて完走した海洋冒険家の白石康次郎さん(54)が12日、上田市のサントミューゼで開いた「上田情報ビジネス専門学校」=比田井美恵校長=)の第16回「ココロの授業」で「凱旋講演会」を行い、比田井和孝副校長と対談した。

 一般も含めて多くの人が白石さんの話を聞き入った。

 

 白石さんは東京生まれ、鎌倉育ち。高校時代に単独世界一周ヨットレースで優勝した故・多田雄幸さんに弟子入り、26歳でヨットによる「単独無寄港無補給世界一周」を果たし”史上最年少記録(当時)”となった。


 数多くのヨットレースで活躍。平成28年の第8回「ヴァンデ・グローブ」にアジア人で初出場。

レースは、フランス・ヴァンデにある「レ・サーブル・ドロンヌ」からスタートし、大西洋を南下、南半球を回り、大西洋を北上して戻るレース。

南極に近い場所も航行する荒天が多いコースのため、ヨットレースで一番困難とされている。

 

 初出場では、ケープタウン沖でマストが折れるアクシデントでリタイア。

第9回レースは、DMG森精機がスポンサーになって新艇を造船し、昨年11月にスタート。

今回はスタート6日目でメーンセールが破損するトラブルが発生、白石さんはセールを1週間かけて補修してレースを続行、補修のセールで完走は難しいと思われたが、見事に16位でゴールした。


 上田情報ビジネス専門学校と白石さんの関係は11年前から。講演会での講師のゲストが契機になって、白石さんを応援。

講演会を行い、レース出場の資金集めに比田井副校長らが動画を配信。

レーススタートにも比田井副校長が駆けつけ、熱心に応援している。


 講演会は、まず比田井副校長が白石さんとレースを紹介。単に成功したことと、幸せになるのは違い、「成幸者」になるには「たくさんの人から応援された人」とし、その代表的な人として白石さんを位置づけた。


 白石さんは講演で、子どもの頃から好きなことで遊んできたことが「ヴァンデ・グローブ」につながっているとし「昭和の時代から大きく風が変わり、個性が発揮される時代。個性は、あなたは何者であるのか、簡単に言えば何が好きなのか、ということ。ぼくの場合、心のコンパスは、楽しくてワクワクする方向を向くようになっている。本当にやりたいことからずれると、つまらなくなる、苦しくなるのが心のサイン。方向が間違ってがまんして努力すれば、ますます悪くなる。方向があっていれば、苦しいことがあっても頑張れる。SNSなどからの雑念は振り払い、心のコンパスを磨くと、何が好きか見えてくる。自分で舵をしっかり持てば流されることはない」と語った。
 ポイントとして「幸せな人からアドバイスを受ける」をあげ、次回2024年ヴァンデ・グローブ出場も語った。