【寄贈された植物標本を持つ出川所長】

 

 

 「長野県植物誌改訂委員会上田地区担当」の川上美保子さん(79)=上田市古里=らは、このほど「筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所」に植物標本3814点を寄贈した。

 

 「長野県植物誌」は、1997年に発行し、実際に採集した植物標本をもとに県内各地域の植生を網羅的に記録する。

改訂版を作成するための調査が2017年から行われている。


 川上さんらは上田市、東御市、長和町、青木村を担当し、昨年までに作成した植物標本を寄贈。

調査は現在も進行中で、改訂版出版は2027年を目標とする。


 「菅平高原実験所」の出川洋介所長(52)によると植物相の実態を把握するためには、伝聞や写真記録だけでなく、実際にその場所にその植物が生育していたという証拠標本を保存することが重要。

それによって後から分類学的に検討したり「DNA情報」を、解析してさまざまな情報を得ることが可能になるという。


 川上さんは「後の世の人の役に立つ仕事の一翼を担うという気概を持って取り組んでいる。今後さらに勉強し、頑張って取り組んでいきたい」と話す。


 出川所長は「贈られた標本は非常にていねいに作製されており、正確に種が同定されたバウチャー標本となっていて学術的価値が極めて高い」とする。


 同大は今後、展開する計画の「フィールドICTミュージアム構想」にも役立てたい考えだ。