【教職員や学生が総出で作業】

 

【何度も重ねて柿渋を塗る】

 

 

 

 上田市菅平高原の「筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所」はこのほど、敷地内にある登録有形文化財「大明神寮」の外壁に防虫、防腐効果があるとされる柿渋を塗った。

 

 大明神寮を末長く後世に残そうと毎年1回行っている恒例の作業で、同大の教職員や学生、市民らによるボランティアスタッフ「菅平ナチュラリストの会」のメンバーら30人余が参加。刷毛を使って何度も柿渋を塗り重ねた。


 大明神寮は同大、前身の「東京教育大学理学部附属菅平高原生物実験所」に宿舎として1965年に建設。

木造平屋建て、トタン葺き屋根で外壁は「下見板張り」。

宿泊室4室や食堂、厨房、風呂、トイレなどを備える。根子岳や四阿山など背後の風景と一体となった景観や、合宿や研究などの中心地として発展した”菅平高原の歴史をも伝える重要な建物”だとして2018年に「登録有形文化財」に指定された。


 「塩田平のため池えん堤の植生」を調査している同大大学院修士課程の滝澤一水さん(22)は「刷毛を使うと(外壁の)木の繊維が剥がれ落ちてくる部分もあり、大切にしていかなければと思う。皆で一緒に作業するとモチベーションが上がります」と話していた。


 大明神寮は以前は教職員や学生の研究や野外実習の際の宿舎として利用されていたが、現在は宿泊施設としては使われていない。


 同大では今月、大明神寮の保存活用計画策定委員会を立ち上げ今後の活用を展望する。


 菅平高原実験所の出川洋介所長(52)は「子どもの林間学校や自然観察会のビジターセンター的な施設としても使えるのでは。学生や先生が寝泊まりし、議論を戦わせた雰囲気が感じられる場。有意義に活用していきたい」と話している。