ばばが最初に入院した病院は、私の勤めている病院で、病棟こそ違ったけどとても都合の悪いものだった。

みんな顔見知りのようなものなのに、家族の病気や、おまけに良くないことを知られたくないのに、つつぬけ。

もちろん、みんなプロだから、言うわけないんだけど。

確定診断ついて、面談に呼ばれて、週明けには大学病院へ転院するコトになって。
心底ホッとした。

自分の働いている病院だけど、だからわかることもある。

『リウマトレックス由来の白血病の予後は悪いです。そこをご了解下さい。』

転院前説明された。はい、としか言いようがないよね。その場では。

全く受け入れられないまま、大学病院に行けばもっと希望の持てる治療をしてくれると期待して行ったら、輪をかけて残酷な説明。

①60過ぎの白血病に、骨髄移植の適応はありません。
②化学療法で亡くなることもあります。
③あなたの場合は、治療効果が期待しにくいです。
④そのまま亡くなることもあります
⑤セカンドオピニオンしていただいてもいいですが、大学病院以上の治療をしているところはありません。
⑥前の病院でも聞いたと思いますが、予後悪いです。
⑦ネットで調べて病気の勉強してください。

…………

絶句。一言も口を挟めないまま説明されて、打ちのめされて、ようやく私が聞けたのは

『治療しても意味ないからあきらめろと言うことですか』だった。

あきらめるとはいってません。と、言われたけど、どこの説明からそう言う解釈すればいいのかわからなかった。

最もショックだったのは、
『次の面談には旦那様か、息子さんに同席してもらって下さい』
と、言われたこと。

父は2年前に亡くなって、私は2人姉妹の長女。息子なんていない。
女は感情的になるから嫌なのか、私が看護師だからやりずらいのか。

ばばは、静かに受け止めていたけれど、だいぶ後になってその時のこと覚えてなかったことがわかった。静かにパニックしてたんだとおもう。

聞きたくないほど悲惨な病状でも、嘘でも、
『一緒に治療頑張りましょう』
と、言ってほしかったな。