梅は、少し怒っていました。「どうして、わたしの名前の後に雨なんてつけて、あのジメジメした季節を表すの」と。梅は、少し呆れていました。「うちの主人たちは、わたしをブランドもののブランデーにつけこんで、お酒を飲まないものだから、忘れているの。このあいだ、飲み助が来て、えー、あんなお酒につけこんだの、おいしいわけね」でも、ほんとうのところ、梅は、少し焦っています。「ことしは、受粉をしてくれる蜂がまだ来ないわ。どうしちゃったのでしょう」。まだ鳴けない鶯は訪ねてきたけれど、蜂は来ない。わがやのマイクロ生態系。