CMカット機能の著作権違反発言に対するメーカーの対策は? | ideamngのブログ

CMカット機能の著作権違反発言に対するメーカーの対策は?

11月12日、日本民間放送連盟会長がDVD録画再生機を用いてCMや見たくない場面を飛ばして番組を録画・再生することが「著作権法に違反する可能性もある」と述べました。

そもそも著作権はまだ一部の先進国でしか法制化されておらず、国際的な著作権に関して規定しているWTOの附属書TRIPS協定があるとはいえ、その権利義務は国によって大きく異なります。

例えば日本では当然のものとされているビデオのレンタルショップについては海外から規制を求める圧力がかかっています。

このいまだあいまいな著作権について論じるのはその道の専門家に譲るとして、この発言に対してメーカーが取りうる対策を考えてみたいと思います。

まずメーカーがとりうる対策を挙げる前に、なぜかこの記事が朝日新聞にしか掲載されていないこと、朝日新聞の記事が発言の要約であって実際の表現がどうなっていたのかわからないことから、日本民間放送連盟会長がどのような主旨の発言をしたのかを検証することから始めてみたいと思います。

1.CMや見たくない場面を飛ばすとは何を指しているのか

CMを飛ばす機能はDVD録画・再生機はもとよりVHS録画・再生機にも搭載されており、音声のステレオ、モノラル、多重音声などを識別してモノラルの場合が多いCMをカットして録画するもので、特に問題はありません。

これに対して見たくない場面を飛ばすとはどういうことなのかが明確ではありません。

音声の識別以外に自動で場面をカットする機能が他にあって、それを指しているのでしょうか。

この見たくない場面を飛ばすについては内容が不明確なのでここでは音声識別によってCMをカットする機能について述べられていると仮定します。

2.朝日新聞記者がDVDの編集機能についても言及していることについて

朝日新聞の記事ではDVDの編集についても著作権法に違反していると取れる書き方をしていますが、これについては疑問に思わざるを得ません。

確かに「放送は1時間すべてが著作物」という考え方に従えば、著作物の改変は著作権法の同一性保持権に違反することになりますが、判例では恋愛シュミレーションゲームで、ゲームをスタートしてすぐにラストシーンまでいけてしまうようにするなどのデータの改変を著作権法違反としていますが、歴史シュミレーションゲームで本来100を最大値とする能力値に100を超える値を入力できるようにしたデータの改変については著作権法違反は認定されませんでした。

これは明確なストーリーの侵害があったかどうかが結論の違いになったと考えられます。

この判例からすると今回のあらゆる「編集」を規制するようにも取れるこの記事の書き方、もしくは発言は妥当ではないように思われます。

またDVDの売りでもある編集機能についてはメーカーもたとえ訴訟に持ち込まれたとしてもその機能を廃止することはないのではないでしょうか。

そこで今回はCMカットに限ってメーカー側の対策を考えてみたいと思います。

考えられる対策として私は以下の3つを挙げます。

1.CMカット機能の搭載をやめる
2.発言を無視して何の対策もとらない
3.CMカット機能の名称を変える

まず1についてですが、これは民放連の主張を全面的に受け入れるものです。

ただ競争が激しい今のDVD業界でこれを行なえば多くのユーザーを失うことは確実で、メーカーがこのような対策を取る確率はかなり低いと考えます。

次に2ですが、訴訟を起こされるだけで企業イメージが大幅に悪化する日本社会において、この方法は危険性がかなり高いといえ、完全に無視するというこの方法を取る確率もあまりないと思います。

最後に名称を変更するものですが、これは例えばCMカットモノラル音声カット機能多重音声選択録画機能などの名称に変更し、この機能はCMカットを意図したものではないと主張するものです。

1、2の方法を取るのが困難であることを考えるとこの方法が一番実行される確率が高いのではないでしょうか。

それにしても、この問題で本当にメーカーが訴訟を起こされたりすると著作権については、著作権侵害を可能にする技術を提供するだけで著作権侵害が認定されるようになる可能性があることを考えると、最近の著作権論議は極めて危険な方向に向かっているように感じます。

あまり面白いニュースがなかったので書いていなかったのですが、これ以上長く書かないわけにもいかないと思い、最近よく話題になっているものを取り上げました。

判例の部分など資料不足気味なので、あとで調べてから少々変更を加えるかもしれません。

参考URL

H13.02.13 第三小法廷・判決 平成11(受)955 損害賠償等請求事件

上記URLは本文恋愛シュミレーションゲームについての最高裁判例です。