しばらく休暇をいただきます | ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

クラシックの本場ヨーロッパで職人として働いている技術者の視点で弦楽器をこっそり解明していきます。

休暇をいただきます、ブログもしばらくお休みにします。


弦楽器について欧州、日本ともに技術者から伝えられる知識が圧倒的に不足しているとことでやってまいりました。

私も何もかも知っているというわけではありませんが、私程度の知識でも多くの皆さんにとっては知らないことが多くあると思います。

例えば、現代のヴァイオリン製作の基礎がフランスにあること。そんな基本的なことですらほとんどの人は知らないことです。


残念ながら技術的に音が良い楽器を見分けることはできません。
これは多くの楽器ついて調べるほどわけがわからず困難であることが明らかになっていきます。

また演奏者によって感じる印象は全く違います。
それは弦楽器は音楽表現のための道具にすぎないわけで当然のことです。


その一方で粗悪な楽器、演奏できない状態の楽器、また法外な値段で買ってしまうという悲劇も起き続けています。


「心を込めて作った」とか「神のような天才が作った」・・・そのようなことで技術的に不可能な課題がクリアーされることはありません。弦楽器について過大な要求をすることは不幸を招く原因となります。


「普通の楽器」の良さを知り、うまく使いこなすことで幸福な演奏家人生を送ってもらいたいです。浅知恵で「画期的に音が良いヴァイオリンの製造法を発明した!!」というようなものは、たいていまともに修行した職人の「普通のもの」にも及ばないものです。

近年日本では消費者の「ウケ」を狙った商売が高度に発達し至れり尽くせりになっていて、もはや消費者は普通のものには目もくれなくなってしまいました。

蕎麦屋でも店主が日本一を目指していろいろなこだわりを謳っている店がありますが、食べ歩いて最後に到達するのは「近所の普通の蕎麦屋」だと聞きます。




日本には「近所の普通の弦楽器店」がまだまだ少ないように思います。
普通のものが受け入れられるようになったときに弦楽器が日本に文化として定着した時なのでしょう。


4月下旬からまたブログを再開します。
日本での弦楽器事情も勉強します。アマティの研究もしていきたいと思っています。

お楽しみに。