地に足が着いていない感覚を覚えるようになってから数年が経った。
僕はどこをさ迷っているのだろう。
そして、どこに立つべきなのだろう。

気がついた時にはもう足元に地面がなかった。
どんな地面だったかさえ思い出せなくなっていた。


理想的な地に降り立ちたいと願うほど、桃源郷は遠ざかっていく。
空想にまみれた日常生活から生み出されるのは、倦怠感と絶望感のみであった。

このままではあの場所へ二度と戻ることができなくなってしまう。
でも、どうすればいいんだ。
僕は目を閉じた。
暗闇の中から光が現れると信じて。

光は見えなかった。

ゆっくりと目を開いた。
世界はこんなにも曇っている。けれど、胸の中にある理想の光は、決して下界を照らしたりはしない。

どうにかして、あの光を足元に持ってきたいんだ。
僕は繰り返し呟いた。

そして、ふと思った。

そんな光はあるのだろうかと。ただの想像ではないのかと。
きっとそうだ。
そんな光なんてありはしないんだ。

灰色の世界がいずれ光に変わってしまうんだ。
ならば、いいじゃないかこのままで。
僕はずっと光の中にいたんじゃいか。
足元を見れば、いや、足元を感じればそこにあるんだ。