僕は16才、彼は19才だった。

その知らせを聞いた日の朝、小説みたいだが、僕は前日の夜から寝付きが悪くて、あまり眠れなかった。
そして、朝の4時頃に家の電話が鳴るのが聞こえたのだけれど、僕は面倒くさいからベッドに入ったまま、何だろうこんな時間に。と思った。そして、電話が鳴り止んだ。
そして今度は、両親の部屋から母親の携帯の着信音が聞こえてきて、僕の母親は看護師だから、あの電話は病院からか、と勝手に解釈していたが、母親のえっ!?という今まで聞いたこともないような声が聞こえてきたので、ただ事ではないと思い、飛び起きて両親の部屋に向かった。ちょうどその頃、江東区でバラバラ殺人があったからだとは思うのだけれど、僕には姉が2人いて隣の県で2人暮らしをしていたから、まさか姉に何かあったのではないかと思いながら部屋に向かい、そして母親から僕の従兄が死んだと聞いた。
信じられなかった。
わけがわからなかった。

そこからの5日くらいはホントに断片的にしか覚えていなくて、
でも、訳のわからぬままその日は学校に行けと言われ、母は仕事を休んで実家に行き、それで学校終わって帰宅したら姉2人が自宅にいて、それで父と、4人で母の実家に向かった。

車で1時間くらいかかるのだけど、近づくにつれて行きたくないと思う気持ちが強くなった。その家の前に着いたら死んだ時に家の前に出ている提灯みたいな物が見えて、現実味がましますます行きたくないと思った。

でも、家に着く前までは意外にも普通な感じで、ちょっとテンション低い的なノリだった。 多分実感がなかったからだと思う。

行きたくないと姉も言っていて、父も行きたくないと言っていて、僕もそうだった。
けれど行かないわけにはいかず、家の中に入っていった。

美化、誇張ではなく、玄関に入った瞬間にその家の空気が異様に重かった。線香の香りも合わさり空気が重かった。
本当に重かった。

玄関から靴を脱ぎ中に入ると、すぐ右が引き戸になっていて、そこを父を先頭に歩いていった。引き戸を通し真っ直ぐ目の前には白い布団の固まりがあった。その引き戸から3部屋ぶんが1つになっていて距離で言えば8メートルくらい先にその固まりがみえた。
その引き戸からその固まりまでの道の両脇には暗い人がうつむいて座っていた。
その間を父を先頭に固まりに向かい歩いた。
彼は死んでいた。確かに死んでいた。