私たちの脳は、
スイッチを切ることができないコンピューターみたいなもので、
何もせずにじっとしていることはできないといわれます。
つねに何かやらずにはいられない性質があるそうです。
ですから、私たちが意識的に何か指示を与えておかないと、
脳は勝手に、過去のいやな出来事を繰り返し思い出したりして、
私たちを悩ませます。
これは、脳の性質なのです。
脳は、昔話に出てくる魔法のランプの精にも似ています。
ランプの精は、主人の願い事をなんでもかなえてくれます。
ところが、主人の願い事が無くなり暇になると、
その主人を食い殺してしまうのです。
ですから、主人は常にランプの精に指示を与えて、忙しくしておかなければいけません。
ある昔話では、ランプをひろった若者が、
ランプの精にいろいろな願い事をかなえてもらって大喜びします。
ところが、ランプの精がすぐに願い事を叶えてしまうので、
あっという間に願い事を思いつかなくなります。
そして、このままでは食い殺されてしまうと、
賢者のところへ相談にいきます。
賢者は若者に、ランプの精に、こう指示するように教えます。
「ランプの精よ、天まで届く棒を立てて、一日中、上り下りしているように。
願い事があったら呼ぶから、それまでずっとそうしているように」
そうして、若者は助かり、幸せに暮らしたのでした。
もしかすると、パチンコ・パチスロ依存症の人は、
脳というランプの精を忙しくするために、
パチンコやパチスロを打つように指示しているのかもしれません。
アルコール依存症の人は、
ランプの精を酔わせておくために、アルコールを飲むように指示しているのかもしれません。
そうしておけば、少なからず、その時はいやな記憶から遠ざかり、
ランプの精に食い殺されずに済みます。
ランプの精を忙しくさせておくために最も良い方法の一つは、
新しい環境に身を置くことです。
知らない土地へ引っ越して新しい生活を始めたり、
言葉の通じない海外へ旅したり、
知らない土地へ出かけて行先も決めずに歩いてみたり。
すると、脳は新しい環境に適合するため、勝手に忙しく働いてくれます。
脳のランプの精が忙しくしているそのときこそ、
あなたを幸せにするための「願い事」を考えるチャンスです。
私たちはランプの精にコントロールされる存在ではありません。
もともと、私たちはランプの精の主人なのですから。