故 河合隼雄先生の「河合隼雄の幸福論」に、

 

依存症者や家族の幸せについて考えさせられる話が紹介されている。

 

ご家族の方の視点とは異なると思うが、

 

依存症本人の立場から紹介したい。

 

 

 

 

「父親は靴のセールスマンだったが、たびたび失業して家は貧しかった。

 

父の失業はアルコール中毒が原因であった。

 

父親は息子のクリスマス・プレゼントを買うためにとってあったお金を

 

酒を飲むのに使ってしまうこともあった。

 

息子はそれでも皿洗いをしながら大学へ行き、いろいろとアルバイトをしながらも、

 

大人になったら必ず何かを成し遂げてやろうと決意した。

 

そして、その通り息子は立身出世してアメリカ合衆国の大統領になった。

 

これはレーガン大統領の大変な成功物語である。」

 

 

 

成功者の中には、子供の頃、恵まれた家庭で育ったのではなく、

 

依存症の親がいる家庭で育ち、

 

逆境を乗り越えて成功した人たちがいるという事実は、

 

子供をもつ私たち依存症者にとって、救いになることだと思う。

 

 

 

 

一方、河合先生はレーガン一家の家庭生活について、

 

娘のパティの著書から、

 

対照的な話を紹介している。

 

 

 

 

 

「パティの母、つまりレーガン夫人は娘に非常に厳しかった。

 

というよりは、パティの表現によると「虐待」であった。

 

彼女はいつも母に殴られた。

 

 

パティはこの家庭生活に耐えられず、家出をしようとしたり、

 

麻薬に手を出したり、男性関係も荒れてくる。

 

拒食と過食を繰り返し、死にそうなところにまで追いつめられる。

 

彼女がどんどん下降する生活をしている間に、

 

レーガンは州知事となり、大統領となって、

 

アメリカで考えられる最高の上昇を遂げる。」

 

 

 

個人の社会的な成功が、イコール家族の幸せでないこと、

 

個人の社会的な成功の影に、

 

家族に闇の世界がある場合があることが述べられている。

 

 

 

私の場合、自分自身が家族に闇の世界をつくってきた。

 

今更、家族を幸せにする、とは言えないだろう。

 

だけど、依存症の闇を通じて、人生や家族について考える機会を得ることができた。

 

まずはギャンブル依存症、借金依存症から回復し続けて、

 

自分の人生を立て直していきたいと思う。