奥さんに秘密でつくった、消費者金融3社550万円の、とても返せそうにない借金
借りることができる上限まで、パチスロにつぎ込んだ。
パチスロでつくった借金をパチスロで返そうとしてきたけど、
どうにもならなくなった。
「もうだめだ。このままでは、自分ではどうにもできない。
借金のことを奥さんに話そう。
離婚することになるかもしれない。神様がいれば、助けてください」
情けなく思ったけど、人生に対する自分の無力さを認めた瞬間だった。
私が依存症から回復の方向へ進むことができたのは、
今思えば
AAやダルクが採用する「十二のステップ」のステップ一にある
「依存に対して無力であり、生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた」
ところから始まった。
十二のステップは、アメリカのアルコール依存症者の自助グループAAから生み出されたプログラムだ。
日本の薬物依存者の自助グループ ダルクでも採用されている。
私たちギャンブル依存症者にとって、パチンコ・パチスロに行くのを止めることはゴールではない。
借金、家庭関係、その他の問題に直面する、始まりに過ぎない。
ギャンブル依存症者は、大半の場合
私のように借金の問題を併せて抱えている。
ギャンブル依存症者は受診時に平均で600万円の借金を抱えているともいわれている。
そのストレスから、パチンコ・パチスロを再開したのでは、どうにもならない。
ダルク創設者の近藤恒夫氏はこのように語っている。
「薬物」はそのまま「ギャンブル」に置き換えられると思う。
「結局のところ、薬物依存者が薬物にハマってしまうのは、
自分と世界との間に生まれるストレスに耐え切れないからである。
つまり、クスリを使わない人生を取り戻すためには、
このストレスをどうやって小さくしていくか、
いかにやりすごして平安に解決するかということが問題になる。
そこで必要になるのが、人生に対する自分の無力さを認め、
さらに自分を超える大きな力を感じとるという過程なのだ。
私は、この段階こそ、依存症者が
自らの失われた霊性を回復するための過程
ととらえることができるのではないかと思っている。」
私の場合もそうだったけれど、自分の無力さを認め、大きな力、運命というか、成り行きにゆだねたことが回復への始まりだった。
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薬物依存を越えて―回復と再生へのプログラム
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