臨床心理学者で文化庁長官を歴任された、
河合隼雄先生がこんなことをおっしゃっていました。
「考えてみると、
人間が生きていくということは
大変なことである。
自分という唯一の存在は
いったい何によって支えられているのか、
しかも、必ず死ぬとなると、
死んでからはいったいどうなるのか。
人間の一人ひとりがこのような
根源的な問いを抱えて生きている。」
また、こんなこともおっしゃっています。
「人々は忙しいを連発して生きているが、
それは少しでも暇ができて、
根源的な問いが心の中に浮かんでくるのを
防ぐために、
無理して「忙しい」状態をつくりだしている
のではなかろうか。
まさに自転車操業的人生である。」
ギャンブル依存症で借金を抱えるという構図も、
私にはこれと同じにように見えてきます。
「死」は私たち人間にとって最大の恐怖です。
根源的な問い、つまり、「死」ということを考えないようにするため、
依存症の人たちはパチンコやパチスロで気を紛らわして、
借金の悩みをわざわざ作り出しているのではないでしょうか。
もしかしたら、私たち一人ひとりが「死」に対して
自分なりの回答を見つけるということが、
依存症からの回復のヒントになるのではないかと思います。
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