発症して入院した時、初めの数日間、私は車椅子生活だった。
個室から大部屋に移ったのは5日目くらいだっただろうか・・・
なぜ車椅子かというと、歩けなかったから。
・・・なぜ歩けなかったのだろう?わからない。
トイレも、毎回ナースコールして、看護士さんに車椅子を押してもらって一緒に行っていた。
歩いちゃダメよ、って言われても信じたくない。
個室だったので、こっそり歩いてみたりした。
何歩か行くと、ガクっとひざが折れてしゃがみこんでしまう。
ホントに歩けなかった。
なんでだったんだろう。
大部屋に移った時にはもう、歩けるようになっていたので丸3日は歩けなかった。
入院用具を準備して入院した訳じゃないから、徐々に夫が持って来てくれてやっとこさ日用品がそろっていった。
「風呂用具持って来たよ」と、シャンプー・リンスを夫がボトル(ポンプの)で2本持ってきた。
その、でかいボトルを見た時、私はずーーーーーっと入院なのか・・・と思い知った感じがした。
悲しかった
その辺の出来事は、意識が戻って間もないし、病気の事もまだ受け入れてないと言うか「何が起こったの?」っていう感じ(現実感がない状態)だった頃。まだ頭がボーーーーっとしている頃。まだ注射も毎回看護士に打たれていた頃。
石鹸も、丸々1個と石鹸ケースを夫が持って来てくれた。
・・・・何が言いたいかというと、今くらいの時期の季節の「匂い」と、その時の石鹸の「匂い」を再び感じてしまったのだ。
当時、夫が病院に持って来てくれたのと同じ石鹸が、我家にはまだいくつも残っている。
退院後、我家に帰ってきて、初めてその石鹸の匂いをかいだ時、入院中の全ての思い出や全ての感情が鮮明によみがえってしまったので、
「その石鹸、病院で使ってたのと一緒だから使いたくない」
と夫に言った。
だからしばらくは違う石鹸を使っていた・・・。
それも底尽きてきた。
来月には発症1年を迎える。
(別に嬉しい訳でもめでたい訳でも何でもないが・・・)
発症当時と同じ季節の匂いや同じ風の感じや同じ体感温度がイヤなのだ。
本当は暑くも寒くもない良い季節のはずなのにね。
病室は窓際だったから、良く窓を開けていた。
同じような風の匂い
よみがえる去年の思い
匂い、あなどれない・・・