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腰に電気が走った。


ぎっくり腰になった。


花見の最中、ぎっくり腰になった。


桜舞い散る花見の席で、俺は、





ぎっくり腰になったのだ。




誰にも言えない。



こんなにも皆、陽気ではしゃいで太陽だってまぶしいのに。


イカ焼きだって美味しいのに。


遠くからピーーーポーーーピーーーポーーー救急車が来て欲しい。


今すぐかつぎこまれたい!!!だなんて!!


誰にも言えない。今ここで、変な伝説を作りたくない。


必死で笑顔を作る俺。つくり笑いがゆがむ。


その額から、


ジョわっと汗がにじみ出す。


手に持ったイカ焼きのタレがしたたる。


意識が…


遠のいていく…



1月3日。寒い朝5時に目が覚めた。

「今日に限ってなぜこんなにも早起きなんだろう?なぜ、何故だ!」

俺は自分を問い詰めた。そうか!!今日は!!

「 バーゲン!バーゲン!!バーーゲン!!!」

だが起きられない。

俺は金縛りにかかっていたのだった。

ここだけの話だが、俺は金縛りに関しては、誰にも負けない自身がある。

強烈に強く、気が遠くなる程長い金縛り。


4時間後。

やっとの思いで金縛りが解けた。

身も心もくたびれ果てていた。

けれども嬉しかった。

体の自由が嬉しかった。

財布をコートに突っ込んで、急いで表へ飛び出した。

「いいやっほう!!」

太陽が雪に反射して眩しい。

「バーゲン!バーゲン!!バーーーゲーーン!!!」

近所迷惑かも知れない。

もういい服は残ってないかも知れない。

何も考えず、どさくさにまぎれながら買ってしまった服袋の中から、

…青いハイヒールを、つかみ挙げた昨年の記憶が…

なまなましく脳裏をかすめる。

今年こそ。

今年こそはマトモな服をより安く!!


雪が溶け始める登り坂を、俺はかろやかにやる気を出して競歩した。