$山田隆文の歯医者さん日記

 親知らずの話が出たので……。

 では、どんな親知らずを抜かなくてはならないのでしょうか?

 この下の親知らず。
 まっすぐ生えていますね。

 春に、東京上野の国立科学博物館に行ったとき、原始人や縄文人、弥生人の骨格模型を見てきました。
 みんな、キレイに上下の親知らずまで嚙んでいます。
 なので、しっかりご飯も食べられたことでしょう。

 でも、最近は、柔らかいものしか食べない。
 なので、顎の発育が悪いと言われています。
 と、親知らずのところから下顎枝(下あごの関節に向かって立ち上がっている部分)がありますので、生えるスペースがありません。
 歯胚が手前を向いて出来るのですが、回転の途中で第2大臼歯にぶつかって、それ以上まっすぐになれません。
 と……。

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 これが、典型的な水平埋伏智歯。
 これは、どうみても生えてこられません。
 なので、医学的には抜歯の対象。
 先の、矯正をしている場合には、後ろから押してきますので、絶対に抜きます!
 あきらめて下さいな。

 これが、親知らずを引っこ抜かれたという典型例です。

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 この場合には、下はまっすぐなんですが、上が傾いて、ぶつかっています。
 結構面倒くさいケースです。
 私の左上の親知らずもこんな感じ。
 第2大臼歯の遠心(奥)がむし歯になったりします。
 私の場合には、遠心頬側根が吸収されてきましたので、しみてしみて大変です!
 抜く場合にも、けっこう手が届かないので、タービン(歯を削る機械)で分割するときに苦労をします。

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 この場合には、上の親知らずが食い込んでいるようにも見えます。

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 これは、下の親知らずが食い込んでいるやつ。

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 さあ、これはどうでしょうか?
 親知らずはどっちを向いていると思いますか?
 あっち向いてほいです。
 たぶん、舌側(内側=舌の側に倒れている)か頬側(ほっぺた側に)に向いています。
 抜くのも大変。

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 上の親知らずだってあっち向いてほいです。

 みんな、私の撃墜(抜歯した)ものです。

 では、最上級のものを。
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 この親知らずは、どこにあるのでしょうか?

 そう、上顎洞の中の奥の壁です。

 まあ、痛みや腫れが出ない限り、これは、触りませんが……。