さあ、あなたはアイデンティティの階段を上がりました。
 学校を卒業して、始めて、仕事に就いたときには、右も左もわからずに、びくびくしていました。
 先輩や上司にぶつぶつ言われながら、毎日を過ごしていました。
 ピーピー言っていました。
 泣き言を言っていました。

 のど元過ぎればと言います。

 時間は経っていきます。
 石の上にも三年と言います。
 これが、良い宇方向に行けば良いんですよ、もちろん。

 さあ、気がつくと、数年が経ちます。
 あなたにも、後輩が出来ます。
 ここに、落とし穴があります。
山田隆文の歯医者さん日記

 もしかして、後輩に、偉そうにしていませんな?
 知ったかぶりなんてしていませんよね。
「あら、こんな事も、知らないの?」
「こうやればいいのよ」
「どこにでも、嫌なやつが居るのよね」
 ……

 あれ、あなたが、言われて傷ついてきた言葉ではありませんか?
 知らない間に、あなたは、嫌っていた先輩達と同じ事をしていませんか?
 すでに、書いてきましたよね。

 あなたは、自分よりも格下と思えるターゲットを見つけます。
 あたしが、育ててあげるわよ。
 そんなつもりになります。
 余計な、お節介をやきます。

 実は、自分よりも下にいるターゲットを見つけることで、あなたは最低ではない。
 もっと、下が居るのだという、安心感を得ているのです。

 きっと、はじめは、「先輩、凄い」と言ってくれるかもしれません。
 でも、だんだんと、その後輩は、あなたから離れていきます。
 だって、あなたから学ぶことがないんですから。
 だれだって、知ったかぶりを聴きたくはありません。

 あなたは、そんなに、凄い人なんでしょうか?
 もう、守破離で、免許皆伝になったんですか?
 序破急で、どんなバリエーションにも応えられるだけの実力を付けたのでしょうか?

 ここが、正念場です。

 そうしないと……。
山田隆文の歯医者さん日記

 あなたが、嫌ってきた先輩達と、同じ落とし穴に落っこちてしまいます(笑)。
 たぶん、落ちていることにも気づきません(大笑)。
 そして、あなたは、いつの間にか、その後輩達に「あの、先輩、嫌よね」とうわさ話をされているのに違いありません(大爆笑)。
 でも、それでも、気がつかないかもしれません。
 あなたは、こう思うでしょう。
「あたしの、どこがいけないってのよ」
 って、まさに、先輩のやり方を受け継いでしまいましたね。

 人は、あなたが、嫌っているものにものになってしまいます。
 なぜなら、嫌だというネガティヴな感情に捕らわれているからです。
 24時間のうちに、どれだけの時間、その嫌なことを考えていたでしょうか?
 それだけのエネルギーを費やしたのです。
 それは、そうなってしまうのも、仕方ありません。

 24時間の中で、どれくらい「こうなりたい」という、ポジティヴな考えをしていましたか?

 さあ、ポジティブに、何かを伝えるにはどうしたらいいのでしょうか?

 親子でも……。
 学校でも……。
 職場でも……。
 ……。
 どんな世界でも、直面する問題ですね。
 みんなが出来れば、きっと、世界も平和になると思うんですけどね……。

 とはいえ、偉そうにこんなことを書いている、かくいう私も、相当にけんかっ早いです(省)。
 売られた喧嘩は、買ってしまいます。
 でも、喧嘩の仕方もあるのですね。
 サンデル教授の白熱授業のように、いかに、きちんと相手の言うことを聴いて、自分の言いたいことを言って、ディベートが出来るかです。
 日本人は、残念ながら、そんなトレーニングをしてきませんでした。
 つーってばかー。
 それが、一番なんですが……。
 まだ、私たちは、テレパシーを使えません。
 ドラマの「サトラレ」みたいに、思っていることが全部漏れ出してしまったらどうなるでしょうか。
 まだ、人類は、そこまで出来ていませんね。
 なので、苦い薬ではありませんが、オブラートが必要なんですね。

 そんな話で、この「あなたの心にご用心2」も締めくくっていきたいと思います。