私は一応、歯科医師である。
 専門は、口腔外科。
 大学院の時には、PCRとかサザンブロッティングとか、DNAなんてものも扱っていた。

 さて、二つの話題がある。
 根本は同じもの。

 一つ目は、
「麻布中学「ドラえもん問題」の真相」
  プレジデントファミリー 3月19日(火)9時0分配信
 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130319-00000001-pfamily-soci
 こんな問題が出たそうだ。
「99年後に誕生するネコ型ロボットの「ドラえもん」。
 この「ドラえもん」がすぐれた技術で作られていても、
 生物として認められることはありません。
 それはなぜですか。
 理由を答えなさい」

 二つ目は、こんな話題。
「出生前診断めぐる命の議論」
 http://seiji.yahoo.co.jp/close_up/1270/
 最近は、羊水などを調べることで、赤ちゃんの生まれる前に、子供に起こるであろう異常を調べられる。
 もし、異常があれば中絶する?


 まるで、別々のテーマのようだが、根本は同じである。

「生命とは何か?」

 永遠のテーマかもしれない。


 遺伝子が受け継がれることによって子孫が生まれるものが生命だとすれば……。
 ドラえもんが複製されても生命では無い。
 前に、スタートレックを題材とした、渡部明さんの「生命と情報の倫理」という本を紹介した。
 新スタートレックには、データ少佐というアンドロイドが艦隊勤務をしている。
 独自の思考能力をもち、臨機応変の対応が可能で、感情を理解しようとする。
 そして、人間になりたいと思っている。
 では、ドラえもんは?
 アニメを見ていると、喜怒哀楽も表現する、非常に人間的なロボットだ。
 でも、子孫は残せない。
 では、子孫が残せなければ、生命では無いのか?
 ピノキオは、天使によって人間にしてもらった。
 まあ、人間だって、神に似せてくられた魂を、土から作った体に入れてもらった。
 死んだら、土にかえる。
 一方、あかちゃん。
 いつからが、人格?
 受精卵?
 胎児?
 出生から?
 生まれれば、殺人罪が適応される。
 でも、中絶は?
 キリスト教の一派は、今でも、中絶反対である。
 生物学的な意味においては、胎児だって、立派な生命体である。
 では、生まれてから障害を持ちそうだから、中絶をしてもいいの?
 これも、なかなかむずかしい。

 土台、倫理的な議論には正解は無い。
 異なる意見を聞き、議論をすることにこそ意味がある。
 でも、答えを出さなくてはならないことだってある。

 さて、同じ生命体。
 もし、車に乗っていて、犬とかネコさんをひいてしまったら……。
 法律上は、器物破損である!

 生命って難しい。