お昼ご飯を食べていると、赤ちゃんを連れた二人の女性が、隣の席に。
 赤ちゃんは、あちらを向いて座っているのだが……。
 なぜか、私の方を振り向く。
 まん丸な瞳にじっと見つめられる。
 笑顔になった。
 そのまま、いつまでも、視線を外さない。
 びっくりしているのは、お母さん。
 だって、赤ちゃん用の椅子の上で、わざわざ、身をよじらせてこっちを見ているのだ。
 お母さんは、不審がる。
 そりゃそうだ。
 お母さんよりも、赤の他人に笑顔を振りまいている赤ちゃんなんて……(笑)。

 前にも何度か書いていると思う。
 赤ちゃんは素直。
 安全な相手か、警戒する相手かを、誰に教えられたわけでもないのに、ちゃんと見分けている。
 一種の本能かもしれない。
 私たちだって、馬の合う人間や、できれば、二度と会いたくない人間が居る。
 でも、一応、理性なんてもんで、外交辞令で、それを覆い隠してしまう。
 赤ちゃんにそんなものはない。
 だから、好きか嫌いかで判断をする。

 そう、赤ちゃんは、リトマス試験紙。
 泣かれてしまうあなた!
 あなたの心のトゲトゲは、赤ちゃんには、まるっとまるごと、お見通しなんですね(笑)。

 ご用心、ご用心。