山田隆文の歯医者さん日記

 さあ、トラブルの原因は何でしょうか?

 それは、あなたが、自分の居場所を見つけていないからです。

 歯科衛生士さん。
 けっこう、歯医者さんを転々とします。
 なぜ?
 いろいろな理由があります。
 給料が安い。
 仕事の終わる時間が遅い。
 休みが取れない。
 院長はいいんだけど、スタッフとうまくいかない。
 スタッフは良いんだけど、院長が……。
 自分がのばせない。
 わたし以外のみんなは、やる気がない……。
 などなどなどなどなど。

 でも、変ですね。
 それで、いいのでしょうか?

 アイデンティティの階段を上がっていきます。
 あなたは、「自分は何であるか」を確立します。
 そして、親の庇護を離れました。
 水戸黄門よろしく、「自分の足で、自分の道を」歩いて行かなくてはなりません。
 そして、自分の居場所を見つけなくてはなりません。

山田隆文の歯医者さん日記

 さあ、スタートです。

山田隆文の歯医者さん日記

 人は、自分の居場所をいろいろなところに探しに行きます。
 海に出てみました。

山田隆文の歯医者さん日記

 山に登ってみました。

山田隆文の歯医者さん日記

 川に行ってみました。

山田隆文の歯医者さん日記

 朝日の中も……。

山田隆文の歯医者さん日記

 夕日の中も……。
 探してみました。

 でも、自分の居場所が見つかりません。

山田隆文の歯医者さん日記

 どこまで行けばいいのでしょうか?
 果てしない、出口の見えないトンネルが見えます。
 悶々とします。
 焦ります。
 怒りを感じます。

山田隆文の歯医者さん日記

 ついに、こんなところまで来てしまいました。
 でも、あたなには、真っ暗闇です。
 どこへ行っていいのか?
 どっちが上で、どっちが下で、方向もわかりません。

 ふと下を見ると、明かりがあります。

山田隆文の歯医者さん日記

 やがて、太陽の光が差し始めました。
 明るい太陽の下で、たくさんの人が、それぞれの人生を生きています。
 それぞれの人生です。
 あるときは、その人生が交錯します。
 でも、地球の反対側の人とは、なかなか出会うこともありません。
 それでも、最近は、ネットの世界で、チャットやツイッターやフェイスブックなどを通じて、これまでよりもたくさんの人と知り合うことができます。
 時間も空間も、意味がなくなってきます。
 あなたには、一人一人の人々の動きが手に取るように見えるようになりました。

 笑っている人もいます。
 泣いている人もいます。
 怒っている人もいます。
 喧嘩もあれば、戦争もあります。
 でも、愛や、家族の方が良いです。
 それが、まるで、あなたには、映画の一コマ一コマを観るように、見えています。
 その一コマに、自分自身を見つけました。
 まだ、自分の居場所を探し続けています。
 あなたの心の秘密の花園の花を探そうと、自分の外を探し回っています。
 でも、見えていません。

 ほらそこ!

山田隆文の歯医者さん日記

 あなたの居場所は、あなた自身の中にあるんです。
 あなたが今居る場所が、あなたの居場所です。

 足元を見てください。
 きれいな花が咲いていませんか?



 あなたの居場所は、誰か別の人が、あなたのために、わざわざ用意してはくれないんです。
 もし、あなたが、他の人の居場所に、入り込んで、「ここはわたしの居場所?」と尋ねても、みんな、首を横に振るでしょう。
 だって、その場所は、その人が自分のために創造したものだからです。
 だから、土足でずかずか入っていって、「わたしのよ」と言ったら、怒られて、追い出されてしまいます。
 あなたは、居心地の悪さを感じます。
 その人の居場所に生えている「花をください」と言っても、きっと、その人は首を縦には振らないでしょう。
 だって、その人が、土地を耕して、種を植え、大事にはぐくんできたお花だからです。
 もし、あなたが、それを奪い取って自分の花園に植えたとしても、すぐに、枯れてしまうでしょう。
 だって、それは、あなたの現実ではないのですから。

 あなたの居場所は、自分で土地を耕し、あなたの選んだ種を植えて、水をやり、太陽の光を浴びて、時には、風や雪から守りながら、大切にはぐくまなくてはなりません。
 その一つ一つが、アイデンティティを確立するための、すべてのアイテムでした。
 そして、ようやく、自分の花が咲くのですね。

 そうです。
 自分の居場所は、自分で作り出すものなんです。

 だって、他のみんなはそうしているでしょう?
 昆虫だって、鳥だって、動物だって、みんな、親離れをして、自分の力で自分の居場所を見つけて、それを、次の世代に伝えていきます。
 誰かが教えてくれたんでしょうか?
 そんなことはありませんね。
 ちゃんと、教えてくれなくてもできるんです。

 でも、人間だけが……。
 余分な知識や、余分な感情を感じて、ありもしない幻想に中に自分を置いてしまいました。
 もっと、素直になれば良いんですね。


 チルチル・ミチルと青い鳥では、幸せの青い鳥を探しに、怖い森の中に入っていって、いろいろな体験をしました。
 でも、冒険の末に、自分の家に幸せの青い鳥を見つけました。

 禅で使われる「十牛図」では、居なくなった自分の牛を探しに旅に出ました。
 でも、見つかりません。
 そして、自分の家でその牛を見いだしました。

 文化が違っても、ちゃんと、同じ事に気がついて居るんですね。



 さあ、自分の居場所は、外を探しても見つかりませんよ。

 心を落ち着けて、自分の周りを見てごらん!