LDHというのは、乳酸脱水素酵素である。
 だれでも持っている。
 解糖系(糖を分解する経路)にある。
 最終産物は乳酸だ。
 これが筋肉に溜まると、筋肉痛の原因になる。
 でも、それは無酸素状態。
 有酸素運動では、この乳酸脱水素酵素の働きで、TCAサイクル(ピルビン酸回路)に入って、効率よくエネルギーになる。
 さて、病気になると、このLDHが血液中に増える。
 肝臓が悪い場合や、心臓が悪い場合だ。
 骨の破壊が起こったときにも出てくる。
 このLDH、実は、唾液中でも測定できる。
 と、歯槽膿漏。
 歯茎が炎症を起こして、歯槽骨が吸収する。
 で、LDHも検出されるという具合だ。

 さて、卒業生から電話が来る。
 デンタルショーで、計ってもらった。
 と、結果が来たら「歯槽膿漏」と書いてあったので、びっくりした。
 もちろん20代。

 さて、どこに問題があるか?

 実は、その子は矯正治療中。
 歯を動かしている。
 と、歯槽骨は活発に吸収し、活発につくられている。
 なので、LDHもいっぱい出るというわけだ。

 ということで、擬陽性ですね。

 なので、数値の読み方。
 ちゃんと、いろいろな因子を考えながら読みましょうね。
 盲信は危険です。

 ご用心、ご用心。