山田隆文の歯医者さん日記

 と、聞かれる。

 答えは、どこかのえりかさまではないが、「別に」である。
 考えるとしても、たわいもないことを考えている。
・おお、いい景色
・いい雲
・こけそうになったら、あらたいへん
・暗くなるまでに山小屋に着けるかな?
 なんてもんである。

 さて、ほとんどは、何も考えていない。
 でも、歩いていると、いろいろな考えが浮かんでは、過ぎ去って行く。
 でも、とらわれない。
 ときどき、ふと気がつくと、鼻歌を歌っていたり(笑)。
 きつい登山道では、地上の星?
 雄大な風景では、ラピュタなんていい。
 今回は、なぜか、エヴァンゲリオンに、レッドクリフとか、未知との遭遇まであらわれた(大笑)。
山田隆文の歯医者さん日記

 さあ、歩きながら頭をいろいろなものがよぎるのだが……。
 でも、ふと、いろいろな想いが過ぎ去る瞬間がある。
 無心になる。
 座禅に近い。
 本当に、きれいな風景に出会ったとき、ただ、嗚呼となる。
 その瞬間がほしいから、山に登るのかもしれない。

 きつい山道。
 もうやめようか。
 こんなきつい坂道、二度と登るもんか!
 でも、一瞬のきらめきに出会う。
 こんな、膝が笑うような坂道、二度と下るものか!
 でも、いつまでも見続けていたい景色に出会う。
 と、また、登りたくなる。
 それだけである。

 だから、山登りはおもしろい。