私の趣味には、人間ウォッチングもある。
仕事柄、患者さんなどの言葉や表情を探る。
だから、ついつい、人の動きを見てしまう。
山歩きも、生体観察のおもしろい場所だ。
単独登山。
グループ登山。
カップル。
親子。
ツアー。
山だって、いろいろな登り方がある。
・挨拶
山では、すれ違う登山者同士で挨拶をする。
街でやったら、怪しいキャッチかと思われてしまうかもしれないが、山では普通である。
一つは、自然の中で気分がいいから!
もう一つは、情報収集と,遭難防止である。
向こうから来る人は、これから行く道を歩いてきた。
だから、次のポイントまでの時間だとか、登山道の状況だとか、山小屋の混雑状況だとか、いろいろな情報が得られるのである。
そして、服装などを覚えてもらう。
と、仮に遭難したときに、「ああ、そんな人と、あのあたりで、何時頃すれちがいました」なんて情報があれば、見つけてもらう確率も上がるわけだ。
でも、挨拶を返さない人もいる。
無言で、黙々と歩く。
何が楽しいのか、私にはよくわからない……。
・OLさん
「こんにちわ」への返事もなく、お友達と話を続けていた。
しかも、同僚の悪口だ。
まあ、山に仕事を持ち込んでもいいんですけどね……。
・ツアー登山
誰かにすがって、山に登る。
それも、一つの手段。
でも、山って、自分で判断しよう。
ツアーって、結構大変なんですよ。
だって、みんなに、ペースを合わせなくてはならない。
早い人も、遅い人もいる。
あるツアーで、かなりばてばてになって、遅れている女性がいた。
ツアーコンダクターの一人が、つきっきりで励ましていた。
でも、プライドだけは高そうな感じ。
どうなったんだろう?
・怪我
合戦小屋で、うずくまっている女性がいた。
一緒に来た女性が背中をさすっている。
見ると、頬に擦り傷が。
転んだか、樹か岩にでもぶつけたのだろう。
顔は、完全に意気消沈していた。
ちょっと、かわいそう。
・山ガール
いやあ、その格好で、山に登るの?
ピンクに、黄色に、赤に、オレンジに、蛍光グリーンに……。
すれ違うと、香水がぷんぷん。
ひらひらしたお洋服に、小さなリュック。
雨具は持ってきたんでしょうね……。
山小屋の雑魚寝に、文句言わないでくださいね!
・グループ登山
中房温泉の隣の部屋は、10人ぐらいのグループ。
目指せ、登頂9時と言っていた。
逆算すれば、朝の4時過ぎには出発しないと、間に合わない。
でも、夜中まで騒いでいる。
結局、起きたのはほかのお客さんと同じ時間。
朝飯もしっかり食べて、出発したのは8時すぎ。
まあ、いいですけど……。
・カップル
女の子が、かなり遅れていた。
半分、べそをかいている。
男の子は、必死で励ましている。
でも、まだまだ、合戦尾根の下1/3。
私が中房温泉について、1時間くらいすると、土砂降りの夕立。
もちろん、私は晴れ男だから全然平気。
当然、そのカップルは、ずぶ濡れのはず。
そして、超満員の山小屋。
どうなったか、ちょっと楽しみ。
それで、愛が深まればいいんですけどね……。