執着。
 これが、なかなか、難しい。
 つまり、煩悩である。
 物事は、こうあるべきだ。
 そういう考え方。
 私たちは、どうしても、してしまう。
 なぜなら、そうやって育てられてきたから。
 それが、当たり前だと思ってしまったからに他ならない。

 たまたま、連休に乗り合わせた夫婦と子供。
 奥さんは、旦那さんに命令口調で話していた。
「あなた、だから、……って言ったのよ!」
「そこ、……して!」
 もちろん、わたしは、気づかれないように、にやにやしながら観察してた。
 旦那さんは「……」である。
 ちょっと、可哀想になった(笑)。

 たとえば、原発がある。
 今日、北海道の泊原発が停止する。
 原発は、比較的、他の産業のない、田舎にある。
 だから、インタビューを受けた人々はこう語る。
「原発がなくなると、仕事がなくなっちまうからね。
 ますます、若いものがいなくなってしまう」
 あれ、誰のための原発?
 安全のための原発ではない。
 個人的な生存のための原発だ。

山田隆文の歯医者さん日記

 山登り。
 すごく楽しい。
 でも、いつもが、晴天とは限らない。
 前にも書いた、ある、大学の山岳部にいた友人である。
 私が撮ってきた山の写真を見せても、どこの山かわからない。
 なぜって、ガスっていようが、雨が降ろうが、吹雪だろうが、ひたすら山の登るのだそうである。
 だから、滑り落ちないように、足元の岩しか見ていない。
 風景を見ている余裕もない。
 雲に隠れて、山の形んなて見えない。
 だから、どこの山に登ったのか、わからない。
山田隆文の歯医者さん日記

 闇雲に、自分の足元だけを見て、ひたすら、大変だと言いながら歩いている人生のようなもんだ。
 きっと、先が見えない。
 歩いてきた道も見えない。
 もっと大変なこともある。
 自分が、今、どこにいるのかさえ、よくわからない。
山田隆文の歯医者さん日記

 気がついたら、こんなところ?
 あれ?
 困りましたね。

 山だったら、遭難。
 山ならば、救助を呼べば、岳のメンツや、救助隊のヘリコプターが飛んできてくれる。
 最近は、「疲れた」というおばさんも。
 さらに、来てくれたヘリに、「民間なら高いから帰って」……!!!!

 人生も、遭難してしまう。
 誰も助けに来てくれない(笑)。
 カウンセラーだって、助けられない。
 一緒に、泥沼を歩くわけにはいかない。
 でも、地図を見せて、道を教えてあげることはできる。
 もちろん、自分の足で歩くんだよ!
 自分で、そこまで来たんだから!


 「執着」は、「物事に支配されいてる状態」。
 「好奇心」は、「物事を支配している状態」。
 そんな、お話をした。

 ルイビトンのバッグが欲しい。
 これは、中立な欲求。
 でも、そのために、何か無理をした。
 で、買った。
 嬉しい。
 そこまでは、OK!
 でも、帰り際。
 もっと、もっと欲しくなるような新品のバッグがディスプレーされている。
 さあ、たいへん。
 これも、欲しい。
 欲望は、限りない。

 悪魔さんがほくそ笑んで、見ている。
 だって、悪魔さんのエネルギー源は、人間の欲望。
 蚊が人間の吐き出す二酸化炭素を求めて群がってくるように、悪魔さんは、人間の限りない欲望を嗅ぎつけて近寄ってくる。
 そして、挫折したとの、悲しみや、恐れや、嫉妬や、怒りが、唯一のエネルギー。
 大好物。
 だから、泣きっ面にハチといいますが、本当は、泣きっ面に悪魔さん。

 あなたが、何かに、けつまづいて転んだ。
 地獄の餓鬼さんや、ゴブリンさんに、ぶつかったのかも。
 というのは、冗談として。

 大丈夫。
 邪悪なものは、笑いが大嫌い。
 喜びが大嫌い。
 もし、私たちがいつもにこにこしていれば、絶対に、近寄ってきませんから、ご安心を!

 でも、眉間にしわを寄せていると(笑)!

 朱に交われば赤くなる。
 楽しいものは、楽しいものを呼ぶ。
 怒りを感じていれば、怒りを感じさせるような現象ばかり目に付く。
 どんどん、いらいらしてくる。

 さあ、もう一度、山歩きで考えてみよう。

 山に登る。
 せかっくの、連休。
 ずっと前から、電車を予約し、地図を買い、どのルートで行こうかって、一生懸命に予定を考えた。
 ワクワクした。
 さあ、山。
 でも、歩き始めたら、吹雪になる。
 さあ、決断の時。
 コップの話の逆。
 ここまで来たんだから、登らなくてはならない。
 一つの考え方。
 まだ、途中だから、引き返そう。
 これも、ひとつの考え方。
山田隆文の歯医者さん日記

 危険な罠。
 でも、こんな、崖っぷちだ。
 わたしだって、ここの帰りに、雪庇の腐れ雪を踏み抜いて、あやうく、500メートルの崖下だった(笑)。
 せかっく来たんだから、行かなくちゃ。
 今度、いつ来られるかわからないんだから、登らなければ。
 さあ、ねばならないが出てきた。

 街でのお買い物ならいいけど、こちらは、命に関わるかもしれない。

 山登りだって、ただ、登るのではない。
 大事な、人生修養。

 だから、千日回峰では1000日も山を駆け巡る。

 さあ、山も、一人で登ることもある。
 これは、自分の判断。
 大勢で登ることもある。
 リーダーはちょっと大変。
 もっと酷いのは、ツアー登山。
 あなたは、自分の判断を、ツアーコンダクターに譲り渡した!
 で、いいの?
 
 前にも紹介したこんな本がある。
山田隆文の歯医者さん日記

 http://www.amazon.co.jp/天の都をさして―『天路歴程』-少年版-ジョン-バニヤン/dp/4880682179/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1336223636&sr=8-1
 残念ながら、廃版だ。
 大人向きの、こちらはまだ売っているようだ。
 http://www.amazon.co.jp/天路歴程-正篇-ジョン-バニヤン/dp/4400620018/ref=tag_stp_s2_edpp_url
 作者のジョン・バニヤンはイギリスの教役者で文学者。

 主人公のクリスチャンは、「破滅の町」に住んでいた。
 そして、ある日、真実を求めて、旅をする。
・虚栄の市
・破壊者アポルオン
・うそつきのライヤー
・光を憎むヘイムライト
・人を仲違いさせるのが好きなブラインドマン
・みんなが嫌いなノーグッド
 ……
などなど、これまで書いてきたような面倒くさい人種がたくさん出てきて、誘惑したりして、主人公の旅を邪魔する。
 でも、最後に、ちゃんと、真実に気づく。
 そんな物語。

 あなたも、人生の旅の途中。
 いろんな事が起こる。
 でも、ワクワクするには?
 
 ちゃんと、「わたしはこんな人」って、言えればいい。
 簡単でしょ!