フィリダ・ロイド監督の「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」です。
 主演は、メリル・ストリープ 。
 先日のアカデミー賞の主演女優賞を取りましたね。
 その評判なのか、飛び石連休の中日だからなのか、映画館は満員御礼。
 でも、年齢層が高かったのが……。
 だって、私が一番若いくらいの感じ……。
 もっとも、実際のサッチャー元首相はなんと、御年86歳。

 映画は、予想を全部裏切って、年取ったマーガレット・サッチャーの姿からスタートします。
 そして、亡き夫の衣服を整理し始めるサッチャー。
 映画は、現在のサッチャーのほんの1~2日の日常を描く。
 普通の伝記は、年齢順になっているのだが、この映画は、現在と過去と幻想を、行き来します。
 それには意味があります。
 夫の思い出を整理する中で、彼女は、自分の人生を振り返っているのです。
 そして、自分の過去と決別します。
 楽しかったこと、辛かったこと。
 そして、様々な感情に直面します。
 そして、その執着を、夫の衣服や靴を捨てる中で、捨てていきます。
 最後に、幻想の夫が、去っていきます。
 そして、自分の飲んだコップを洗い、出かけるために部屋を出て行きます。
 それで、おしまい。

 メリル・ストリープのアップの場面が多く、その、微妙の表情や目の動きで、すべての感情を表現しています。
 そして、最後のシーンの一筋の涙。

 素晴らしい演技でした。

 ドラマとしては、地味です。
 でも、見る価値のある映画でした。