私たちの心は自由です。
 でも、不自由です。
 面倒くさいんです。
 矛盾してるんです。
 何でも貫き通す矛と、どんなものでも貫けない盾みたいもんです。
 ややこしいんです。

 さあ、ひとつの仕事があります。

 仕事自体は中立です。

 どんな方法でやったら、豊かさを感じるでしょうか?
 逆に、どんな方法でやったら、嫌になるでしょうか?

 もう、答えは簡単です。

 タイトル通りですね。
 <やらされる><やらなくちゃ><やりたい>です。

<やらされる>
 下の方法。
 やりたくない事をやっているときです。
 あるいは、誰かに命令をされて、やらざるを得ないときです。
 モチベーションのない事、この上ないです。
 私だって、ダメです。
 有名な例はこれですね。
 囚人が居る。
 「穴を掘れ」と命令をする。
 穴が掘れたら、今度は、「穴を埋めろ」と命令をする。
 埋めたら、また、掘れである。
 自分の行動に、意味が持てない。
 価値が持てない。
 これが一番苦痛です。
 でも、就職本には、こう書かれていますね。
 「石の上にも三年」
 ……。
 こんな本もありました。
 「会社に就職をした以上、上司が売れと言ったら、何でも売らなくてはならない」
 をいをい。
 もちろん、こんな本もありました。
 『エスキモーに氷を売る』
 http://www.amazon.co.jp/エスキモーに氷を売る―魅力のない商品を、いかにセールスするか-ジョン-スポールストラ/dp/4877710582
 ある意味、面白いです。
 もちろん、それは、やりたいにつながりますが、その解説はまた後で。

 ここで、大事な事。
 自分のやっている事に、意味が見いだせない。
 これが、一番の原因です。

 でも、日本の社会は、形式から入る事も多いです。
 ですから、大学を卒業し、エリクソンのステップ5から、ステップ6になると、社会生活を営まなくてはなりません。
 無理矢理、(おかしな意味での)協調性を求められる事があります。
 
 その意味が、わかるまでには、どれくらいの時間が必要でしょうか?
 さあ、もし、あなたが、上司に訊いてみたとします。
 「この仕事には、どんな意味があるんですか?」
 上司はどうするでしょうか?
 もし、意味を知っている上司なら、こう対応します。
・上の方法
 「さあ、自分で見つけてご覧」
・中の方法
 「……という意味だよ」
・下の方法
 「そんなもん、知らんでよろしい。言われた事だけやっていればいいんだ!」
 たぶん、最後の上司は、自分でも意味を知らないで、やれと言っているのでしょう。
 そう、ここが、この方法の、最大の問題点です。
 <命令>や<指導>は、意味なんかわかんなくてもできるんです。
 ただ、生殺与奪の権を持った人が、「やれ」と言えば、やんなくちゃいけないんです。

 だからこそ、上司になる人は、きちんと、リーダーシップの研修を行う必要があります。
 できれば、「やらされる」ではなくて、自発的に、それに気が付かなくてはですね。
 そうしなければ、身につきません。

<やらなくちゃ>
 少し、仕事の意味を知っています。
 ですから、やります。
 でも、ここには、義務感があります。
 やらなくてはならない。
 なんです。
 わたしは、大学でのうのうとしていますが、もし、歯科医院を開業します。
 と、家賃も払わなくてはなりません。
 一台で、高級車も買える歯科治療用のユニットのローンも払う必要があります。
 歯科衛生士さんなど、スッタフの給料も払う責任があります。
 と、仕事をしなくっちゃになります。
 上司の奴隷は卒業をしたかもしれません。
 でも、まだ、仕事の奴隷ですね。

<やりたい>
 さあ、最上級の方法です。
 『エスキモーに氷を売る』に戻ります。
 もし、あなたが、いつも氷の世界に住んでいるエスキモーに「氷を売れ」と命令されたらどうしますか?
 「そんなこと、無理だ!」と答えますか?
 それとも「言われたのだから、売らなければならない」と思いますか?
 最上級の答えはこうですね。
 「面白そうだ。売ってみようじゃないか!」です。

 「そんなこと、無理だ!」と答えた人。
 何をしていいのか、呆然としているかもしれません。
 「言われたのだから、売らなければならない」と答えた人。
 胃に穴が空いても、エスキモーの氷の家を、かじかんだ手にカタログを持って、歩き回っているでしょう。
 「面白そうだ。売ってみようじゃないか!」と答えた人。
 負けても、失敗しても、また何度でもチャレンジして、きっと、最後には素晴らしいアイデアに辿り着きます。

 「そんなこと、無理だ!」と答えた人は、仕事を辞めて、転職するかもしれません。
 「言われたのだから、売らなければならない」と答えた人は、やがて中間管理職になり、きっと、部下にも同じような事を言っているでしょう。
 「面白そうだ。売ってみようじゃないか!」と答えた人。
 きっと、出世します。
 あるいは、自分で起業して、大成功をおさめるでしょう。


 目の前のハードル。
 無理矢理、飛べるまで飛ばさせられるのか?
 飛ばなくてはならないと、屁の突っ張りでがんばるのか?
 それとも、飛びたい!
 そう思うかですね。

 それだけで、その意味は全く違ったものになります。

 だから、<やらされる><やらなくちゃ><やりたい>です。
 あなたなら、どうしますか?