山田隆文の歯医者さん日記

 さあ、あなたは乳離れをします。
 下の前歯も生えてきました。
 乳離れもします。
 やがて、布団から抜け出して、はいはいを始めました。

 それまで、あなたが目にしていたのは、天井と、そこにぶる下がったがらがらと、ぬいぐるみのワンちゃんやテディベア、そして、ご両親や兄弟の顔、時々来る祖父母や、ご両親のお友達の顔。

 でも、自分で動けるようになると、あなたの行動範囲は格段に大きくなります。
 家の中は、探検の宝庫です。
 あなたの見た事がないものがたくさんあります。
 あなたの知らない事がたくさんあります。

「知りたい!」

 そう、あなたの欲求が芽生えます。
 好奇心が育ちます。

 何でも、触ってみたいです。
 何でも、口に入れてなめてみたいです。
 その感触を楽しみます。

 ときどき、家のワンちゃんに手を出して、生暖かいべろでぺろっとなめられてびっくりします。
 今度は、家のネコちぇんに手を出して、しっぽをむんずとつまんだら、ぎゃー!と言われてびっくりします。
 ビデオデッキにおせんべいを突っ込んでみました。
 離乳食の入ったボウルを、投げてみました。
 いろいろな、音の出るおもちゃがあります。
 取り込んだばかりの洗った洗濯物の中に飛び込んでみました。

 やがて、つかまり立ちができるようになります。
 でも、まだ、足はおぼつきません。
 だから、こけます。
 テーブルの角に、額をゴツンとやって、痛みを知ります。
 泣きます。
 こけました。
 でも、自分で起き上がります。
 また、こけます。
 失敗の連続ですが、だんだんとうまくなります。
 歩くのも、早くなります。
 今度は、階段に挑戦です。
 障子を破ってみました。
 ドアを開けてみました。

 好奇心は、どんどん広がります。
 あなたの、行動範囲が広がるに従って、あなたの、意識もどんどん広がります。

 さあ、その時に、あなたは、何を感じたでしょうか?

 もちろん、お母さんの優しい目ですね。
 転びそうになってときに、支えてくれた、お父さんの、大きな手ですね。

 ステップ1の、信頼の上に、あなたは、成長をしてきました。

 あなたは、色々な事にチャレンジをしてきました。
 それは、両親の信頼と保護があったからです。

 始めは、あなたが、どんな過ちを犯しても、許してくれました。
 でも、だんだんと、
「よくできたわ」
「それは、触ると危険よ」
「でも、これは、人に迷惑がかかるからだめよ」
と、教わってきました。

 両親の優しい目が見ています。

 やがて、あなたの自我が芽生えてきます。
 と、失敗をしたときに、ばつがわるくなります。
 恥ずかしさを経験しました。
 うまくいかないときの、怒りを経験しました。

 そして、それをコントロールできるようになります。

 さあ、次のステップに進んでいきましょう。