臨地・臨床実習中の学生さんは、その日、アシストに付いた患者さんの、治療法や治療器具や薬剤、アシスタントの内容などを、実習記録として書いていく。
 ときどき、返却されたレポートを目にする。
 と、気になった。
 受付の実習記録だ。
 患者さんが帰る最後に、声をかける。
「お疲れさまでした」
 と書かれているのが、気になった。

 前にも気になった事がある。
 大学で、あのリハビリメイクのかずきれいこさんを呼んで講演をしてもらった。
 そのお付きの面々。
 講演が終わって帰って行く聴衆の皆さんに、「お疲れさま」。
 疲れるような講演だったのだろうか?
 そんなことはないだろう。
 みんな、満足して帰って行ったはず。
 だから、ここは、「ご来場、ありがとうございました」かな?
 もし、雨でも降っていれば、「足下お悪いので、お気をつけでお帰り下さい」もあるか?

 疑問はこうだ。
 患者さんを疲れさせちゃっていいのだろうか?

 まあ、抜歯をしたり、でっかいクラウンブリッジで何度も印象を取ったり、面倒くさい治療で長時間かかった。
 これは、「お疲れさま」でいいかもしれない。
 でも、次回の予約が終わって、患者さんがユニットから立ち上がるなんてときに言えば、オンタイムかもしれない。
 それを、会計が終わった受付で?
 ちょっと、変だ。

 では、「お大事にどうぞ?」は?
 腫れたりして痛みがある。
 今日、抜歯をした。
 なんて場合には、これは、相応しいだろう。
 でも、定期健診で来院した。
 これは、「お大事に」では変だ。

 癌の患者さん。
 「またのお越しをお待ちしております」
 これは、まあ、あり得ない(謝)。

 マニュアル全盛時代ではあるが、患者さんは、一人一人違う。
 マクドナルドなどの外食産業みたいに、なんでも、同じ言葉をかければいいのか、という事ではないと考える。

 臨機応変。
 これが、一番なのだが……。
 まあ、なかなか、難しい。