ドイツの教育について。

 京都産業大学 文化学部 国際文化学科 衣川 直子さんは、「ドイツの教育」ということで、このように書かれている。
 http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~konokatu/kinugawa(06-7-30)

・ドイツの学校の規則
  授業時間や校庭におけるルールなどの約束事といったもの。
  髪の色や服装に関しては決められていない。
  それらは生徒の個人的自由に属することであり、生徒自身や親に権利と責任があると考えられている。
  また、外見を派手にしたり反発するのは「大人になりたい」「自立したい」という気持ちから
  起こるのであり、成長する過程で当たり前のことと考えられている。
 (http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~konokatu/kinugawa(06-7-30)より引用させて頂きました)

 如何?

 日本の校則のなんと厳しい事か。
 うちは、医療系。
 臨床実習中は、茶髪やマニキュアや派手なお化粧は禁止である。
 昔、某大学病院で、映画のアダムスファミリーのお母さんそっくりなお化粧の看護師さんを知っているが、それは、ご愛敬で。
 まあ、患者さんも千差万別。
 全ての患者さんが、どんな立ち居振る舞いをも受け入れられるわけではない。
 だから、世間一般の<医療従事者>のイメージを踏襲する必要はある。

 でも、それを、強制するのか?
 それとも、先輩である歯科医師や歯科衛生士が、お手本を持って見せるのか?
 そこに、大きな違いがある。

 個人的には、自ら、そのTPOを学んで欲しいと思う。

 もっとも、規則で縛ってしまえば、即席のえせ医療従事者が出来上がる。
 形から入るのなら、それでも良い。
 でも、中身は?

 学生の自主性を尊重して、気づき、成長を待つためには、時間も根気も必要になる。
 前のブログでも書いたように、教える側のトレーニングも必要になる。
 私たち自身が、規則で縛られて教えられてきたのに、いきなり、180度、考え方をシフトしろと言うのは、土台、無理な話である。

 衣川さんのレポートは続く。
・組織よりも個人
 これが、ドイツのスタンスである。
・家庭教育
 自立への教育
 親は子どもの良いところを伸ばそうとする=「一人前の人間」として認めている

 素晴らしい事だ。

 「出来ない子は、留年させればいい」
 これは、子どもを「一人前の人間」として認めていない。

 だから、こう言い換えて欲しい。
 「出来た子は、進級できるよ」

 言っている意味は同じ。
 でも、受け取り方は180度違う。

 もうひとつ例を紹介する。
 八洲学園大学の福田博子さんによる、「ドイツの幼児教育施設についての考察」だ。
 http://www.yashima.ac.jp/univ/about/information/pdf/kiyou05/5-fukuda.pdf
 (以下、部分的に引用させて頂きました)

 ザクセン州では、「昼間施設における子どもの促進のためのザクセン法」なるものがあるそうだ。

・使命と目的
 家庭の枠を超えて多種多様な体験や経験の可能性を提供。
 子どもの人格の促進に位置づけられた全体構想の枠で自主的な、年齢や発達に固有な世話や陶冶や
 教育の使命を果たすのである。

 すばらしいですね!

 法律は、続いて、こう書いている。

 ・自立や責任の覚悟や共同の能力、他人、文化、生き方並びに障害を持った人に対する寛容と受容の
  ような社会的資格の取得と促進
 ・精神的、身体的能力と熟達の形成に、学習の過程の形成も含めて、特に知識や能力の取得のために。

 言う事はございません。

 さらに、ドイツでは年齢の混合した「縦割りクラス」が普通だそうな。



 もちろん、日本だって、教育基本法にはこう書かれている。

 第一章 教育の目的及び理念
(教育の目的)
 第一条
  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた
  心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
(教育の目標)
 第二条
  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう
  行われるものとする。
  一  幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、
    健やかな身体を養うこと。
  二  個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うと
    ともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
  三  正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、
    主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
  四  生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
  五  伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、
    他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 あくまでも、「育成」と書かれているのであり、「命令」でも「指導」でも「教育」でもない。
 そこが、大事な事!
 「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養う」
 ごもっともです!

 さて、教務部長という立場で、うちの大学のカリキュラムや学生ガイドブックを眺めてみる。

 まだまだです。

 頑張ります。

 訂正!

 楽しみます!