今年の卒業生も、就職シーズン。
 たくさんの求人票を頂いている。
 おかげさまで、この不景気の中でも、歯科衛生士さんは売り手市場。
 どこへ行っても人手不足です。
 東京の、同僚や友人の歯科医院からも、たくさん頼まれています。

 さて、<就職>と書きます。
 ですから、本来は、その仕事をするために勤めます。
 でも、いつの間にか、始めのお約束とは、どんどん違った仕事になっていきます。
 私も、口腔外科と歯科予防処置論を教えるだけだった予定が、口腔解剖に口腔生理に病理に医療倫理学に臨床検査にコミュニケーション論に歯科医療行動科学にカウンセリング論に……。
 受け持つ科目数は、天井知らずに増殖中です(泣)。
 その間に、診療に、臨床実習の笑気ガス鎮静法とパントモレントゲンの講義・実習に、国家試験対策に、クラブの顧問に、毎月会議がたくさん……。
 本来は、仕事が変わるときには、新たに雇用契約を取り交わすのが、正しいお約束ですが、日本では、慣例的にそんなことはありません。
 <就職>=<就社>です。
 ですから、いつの間にやら、歯車に。
 (私だけ特急スピードで回転しますので、回りが付いてこれないかもしれませんが……(笑))

 前にも書いたように、<協調性>のある方は、翻訳すると「院長の命令に従え」と書いてあります(笑)。

 コミュニケーションのコーナーでも書いていますが、なかなか、コミュニケーションは難しい。
 大学病院などの大きな職場ならいざ知らず、普通の歯科医院は、院長に、歯科衛生士さんや受付などスタッフ数人。
 お山の大将の院長も居れば、お局さんも居れば、おせっかいオバさんも居る。
 その中で、コミュニケーションをまっとうにやっていくなんてのは、相当に、自分を殺さないと出来ない。
 というか、最近のゆとり世代の若者は、全くそんな事はないから、我が道を進もうとする。

 ところで、この求人票。
 目を通していると、「あれ?」と思うことが多々ある。

・残業有り、残業手当なし
・あっても、計算方法間違えていませんか?
・どう見ても、働いている時間が8時間以上
・有休なし
・あっても、6日とか9日とか、労働基準法では半年常勤で10日なのに、どこからその数字が出てくるの?
・退職金なし

 もう、院長の「俺も頑張っているんだから、歯科衛生士も」なんて論理は、労働基準法では通用しません。

 まあ、私は、8時前には大学に来て、帰るのは夜の10時過ぎ。
 14時間は大学にいますが……。

 さて、先日の、東京方面の卒業生との夕食会。
 けっこう、みんな、たくましく生きています。

 みなさん、良い歯科衛生士さんになって下さいね!