さて、リアリティです。
 現実です。
 私たちは、この地球上に生きていますが、私たちが実際に見たり聞いたり経験できる事は、自分の身の回りに限られています。
 でも、見えないからといって、その出来事が起こっていないわけではありませんね。
 そこには、その現実に直面しているたくさんの人が生きています。
 もちろん、あなたと一生関わり合う事もないかもしれません。
山田隆文の歯医者さん日記

 地球ばかりではなくて、もちろん、銀河も宇宙も、別の次元も……。
 というと話が大きくなるので、夜空を見上げた星々の話にしましょう。
 私たちは、現実を見ています。
 でも、見ている夜空は今ではありません。
 星の光も、光の速度を超えられない(相対性理論では今のとろろはそういうことになっています)ですから、星が光ってから、地上に届くまでは時間がかかります。
 ハッブルやスバルが見つけた宇宙の最深淵は150億光年も向こうです。
 ですから、私たちが見ている宇宙の姿は、ほんの数秒前の月と、ほんの数分前の太陽と、一番古いものでは150億年過去の姿を、同時に見ています。
 ですから、150億光年向こうの銀河が、まだあるのか無いのか、確かめるすべがありません。
 でも、私たちは夜空を見上げて、星空を現実としてとらえています。
 不思議ですね。

 さて、人間だけが、時間を感じます。

 こんな例がわかりやすいでしょう。
 犬がそそうをします。
 あとから、「あの時、あんなところでおしっこしちゃだめよ!」と、叱っても、わんちゃんはすでに忘れていますから、きょとんとして、へっへっとしっぽを振っています。
 だから、ハチ公のように、主人が死んだ事を知らずに、時間経過がわからず、ずっと、帰りを待ちます。

 でも、人間だけが、過去や未来を憂えます。
 だから、過去の面倒くさい感情に囚われたり、未来にまだ起こっていない予期不安にさいなまれます。
 面倒くさいですね。

 さて、もう一つ、人間には面倒くさいところがあります。
山田隆文の歯医者さん日記

 現実は、もちろんあります。
 これは、現実の町並みです。
山田隆文の歯医者さん日記

 でも、夢を見ます。
 これは、現実にはない、架空のお城を再現しました。

 時には、バーチャルな映画やゲームの世界を、現実のものとして共感します。
 キアヌ・リーブスの「マトリックス」のように、私たちの意識が認識さえすれば、架空の世界もリアリティとしてとらえてしまいます。

 もし、それが、ディズニーランドのような夢の国ならばいいのですが……。

 なぜか、人はネガティヴな幻想をします。
 「こうなったら、嫌だな!」
 「失敗したらどうしよう……(泣)」

 私たちの意識は、現実にあることも、空想した事も、すべて同じリアリティとして認識をします。

 と、いつの間にか、私たちが「嫌だ」「嫌だ」とエネルギーを集中している物事に対応するように、無意識に動いてしまいます。
 嫌いな人には、まだ、現実に何もトラブルが起こっているわけではないのに、こちらが緊張して、こわばった顔をして、怖い目をして、ぶっきらぼうな口調になって対応すれば、当然、予想していたのと同じ面倒くさい事態に陥ってしまうのは当たり前の事です。

 これは、簡単に実験できます。
 自転車に乗ります。
 まっすぐな白い線の上を走ります。
 白い線を見つめていると、まっすぐ走れます。
 でも、ちょっとよそ見をした瞬間に、ハンドルがぶれて、道を外れてしまいます。
 スノーボードをします。
 両肩をボードに平行にして、顔だけを行きたい方向に向けます。
 と、まっすぐ進みます。
 でも、ちょっと、よそ見をしてしまいました。
 ボードは素直に、見た方向に進みます。
 だから、こけます(笑)。

 私たちの人生の主人公は私たちです。
 人生の青写真を描くのも私たちです。
 ですから、理想的な未来を描けばその通りになります。
 間違って、あなたの嫌っている未来を描けば、その通りになってしまうのですね。