岩波の採用条件である。
 「2013年度の社員採用は一般公募ではなく、
  岩波書店著者もしくは岩波書店社員の紹介を応募条件として行います。」
 http://www.iwanami.co.jp/company/index_s.html

 さて、これには、賛否両論がある。

 というか、個人経営や、小さい会社ならこれはよくある。
 歯医者さんだって、学生にはこう言う。
 ハローワークって、歯医者さんが求人を出す最後の手段だからね。
 一番いいのは、口コミ!
 次が、きちんとお金を払って求人広告を出す雑誌など。
 だって、ハローワークは無料だから。
 そして、いつもハローワークに求人がでているところは、要注意!
 なぜなら、きっとすぐに辞める人が多いのだろう。
 うちの求人票には、卒業生の動向も書いてもらう。
 と、どんな歯医者さんかが一目瞭然になる。
 ある歯医者さんには、半年・一年の勤続年数の卒業生が並んでいる。
 一方、もう一つの歯医者さんの求人票には、5年・10年、さらに名字の変わった卒業生が並ぶ。
 解説は必要ないですね。
 いい歯医者さんだから、長く勤められる。
 結婚しても、子供が生まれても、ちゃんと産休も育休も取れる。
 なんとく居ても居づらい、面白くない、勉強にもならない歯医者さん。
 だから、すぐに辞める。

 さて、そんな歯科衛生士さんも辞めるときが来る。
 結婚したり、出産だったり、引っ越しだったり。
 その時、もし、良い歯医者さんだったら、お友達や後輩を紹介する。
 わたしも、友達の歯科医院からたくさんの求人を頼まれる。
 東京の同僚や先輩の歯医者さんにも、たくさん働いている。
 カリスマ歯科衛生士さんの居る歯科医院にも、背中を押してあげた卒業生が勤めている。
 カリスマ歯科衛生士さんが来る歯科医院にも、しっかり働いていて、卒後3年で本の表紙に名前が載った卒業生が居る。
 テレビにも出るような著名な先生のところにも、何人かお願いした。
 だから、良い歯医者さんは、口コミでスタッフが集まるから、見かけは、求人票は出てこない。
 口コミでスタッフが集まらないから、いろいろな宣伝が必要になる。

 という意味では、数人しか採用予定のない岩波書店のやり方は、正しいやり方だと思う。
 だって、人生の残りの数十年をその会社で過ごす。
 人柄のわかった人と働きたい。
 もし、見ず知らずの新人を、エントリーシートとたかだか10分程度の面接で見抜けるか?
 これは、無理。
 長年付き合った友人だって、「あれ?」と思う一面を見たりする。
 だから、照会というのには、重要な意味がある。
 照会する方にも責任が生じる。
 照会された方も、しっかり働かなければ、照会された人に面子が立たない。

 ちなみに、iPhoneのアップル。
「アップルでは信用できるまで新人にフェイクの製品を開発させる」
 http://www.gizmodo.jp/2012/02/apple-makes-new-engineers-work-on-fake-products-until-apple-can-trust-them.html
 採用まで、9ヶ月かけるそうである。
 その人を、ある程度見抜くためには、それだけの時間が必要なんだって事。

 これも、ある意味すごい!