感情をため込んではいけないよ。
素直に流しましょう。
と、何度も何度も書いてきました。
発散されないエネルギーは、どこかに停滞をします。
いつか、あふれます。
堪忍袋もいっぱいになります。
いつか、緒が切れます。
だから、素直に感じるのが一番なんです。
感情は、それぞれが独立したものではありません。
<恐れ>も<怒り>も<嫉妬>も<喜び>も<同情>も<情熱>も、同じエネルギーです。
ただ、その存在形態を変えただけです。
心の曼荼羅の織物の、いろいろな色に染められた縦と横の糸です。
それが、いろいろな絵を描き出します。
そして、それは、一個のケーキから始まりました。
みんなで、パーティーをしました。
と、ケーキが一個余ります。
みんな、もう一個食べたいなと思いました。
さあ、感情のメリーゴーランドの始まりです。
(食べたい。でも、卑しいやつだと思われたら<嫌>だな)と<恐れ>ます。
(食べたい。でも、だれかに先に食べられたら<悔しい>な)と<怒り>を感じます。
(食べたい。でも、二個目を食べたやつはいいよな)と<嫉妬>します。
みんなが、手を伸ばします。
でも、ほかのみんなも手を伸ばしたので、あわてて、手を引っ込めました。
顔を見合わせます。
苦笑いです。
頭をかきます。
ばつが悪いですね。
一人が、<勇気>を示しました。
「じゃんけんしようぜ!」
ほかのみんなは、ほっとします。
「じゃんけんぽん」
「あいこでしょ」
みんな、勝ちたいと<情熱>を燃やします。
ぴんーぽんー!
と、呼び鈴が鳴りました。
遅れてきた別のお友達です。
「ああ、おまえケーキ食ってないよな」と、一人が<同情>します。
「ああ、ありがと!」と、彼は<喜び>ました。
みんなは、ほっとします。
けんかにならなくてよかったと、ちょっと<うれしく>なりました。
感情は巡るましく変化しました。
みんな、それを素直に感じました。
でも、<嫌だな>を引きずったらどうでしょう?
<悔しい>を引きずったらどうでしょう?
<嫉妬>を引きずったらどうでしょう?
あなたは、「じゃんけんしょうぜ」に素直に参加できましたか?
最後に、遅れてきたお友達がいなかったら、どうなっていたでしょうか?
面白いですね。
感情は、複雑に絡み合っています。
感情は感情を呼びます。
感情は感情を鎮めます。
感情は変化できるんです。
ただ、素直に感じさえすれば。
ただ、素直に流してしまえさえすれば。
座禅を組むと、「雑念を捨てなさい」といいます。
でも、本当に、そんなことができるのでしょうか?
捨てよう捨てようと想えば思うほど、どんどんどんどん雑念がわき上がってきます。
ふと気がつくと、変な考えにとらわれています。
その瞬間!
ばしっ!
と、肩に警策(きょうさく:お坊さんの持っている平たい棒)が飛んできます。
その意味は、渇を入れる。
文殊菩薩による励ましなのだそうです。
お坊さんには、あなたの心の雑念がお見通しなんですね。
さあ、ではどうしたらいいんでしょうか?
ただ、感じてください。
です。
雑念を、ただ、目の前を流してしまいます。
「ああ、そういうこともあるよね~!」です。
それだけ。
簡単ですね!
感情も同じ。
捨てようと想えば思うほど、感じまいと想えば思うほど、感情はあなたにつきまとってきます。
だから、
ただ、感じてください。
ただ、流してください。
「ああ、そんな感情、今、感じているよね~!」です。
おしまい。
えっ?
うまくいかないって?
それは、また、次の感情のところで。