$山田隆文の歯医者さん日記

 感情をため込んではいけないよ。
 素直に流しましょう。
 と、何度も何度も書いてきました。
 発散されないエネルギーは、どこかに停滞をします。
 いつか、あふれます。
 堪忍袋もいっぱいになります。
 いつか、緒が切れます。
 だから、素直に感じるのが一番なんです。
山田隆文の歯医者さん日記

 感情は、それぞれが独立したものではありません。
 <恐れ>も<怒り>も<嫉妬>も<喜び>も<同情>も<情熱>も、同じエネルギーです。
 ただ、その存在形態を変えただけです。
 心の曼荼羅の織物の、いろいろな色に染められた縦と横の糸です。
 それが、いろいろな絵を描き出します。
山田隆文の歯医者さん日記


 そして、それは、一個のケーキから始まりました。
山田隆文の歯医者さん日記

 みんなで、パーティーをしました。
 と、ケーキが一個余ります。
 みんな、もう一個食べたいなと思いました。
 さあ、感情のメリーゴーランドの始まりです。
(食べたい。でも、卑しいやつだと思われたら<嫌>だな)と<恐れ>ます。
(食べたい。でも、だれかに先に食べられたら<悔しい>な)と<怒り>を感じます。
(食べたい。でも、二個目を食べたやつはいいよな)と<嫉妬>します。
 みんなが、手を伸ばします。
 でも、ほかのみんなも手を伸ばしたので、あわてて、手を引っ込めました。
 顔を見合わせます。
 苦笑いです。
 頭をかきます。
 ばつが悪いですね。
 一人が、<勇気>を示しました。
「じゃんけんしようぜ!」
 ほかのみんなは、ほっとします。
「じゃんけんぽん」
「あいこでしょ」
 みんな、勝ちたいと<情熱>を燃やします。
 ぴんーぽんー!
 と、呼び鈴が鳴りました。
 遅れてきた別のお友達です。
「ああ、おまえケーキ食ってないよな」と、一人が<同情>します。
「ああ、ありがと!」と、彼は<喜び>ました。
 みんなは、ほっとします。
 けんかにならなくてよかったと、ちょっと<うれしく>なりました。

 感情は巡るましく変化しました。
 みんな、それを素直に感じました。

 でも、<嫌だな>を引きずったらどうでしょう?
 <悔しい>を引きずったらどうでしょう?
 <嫉妬>を引きずったらどうでしょう?
 あなたは、「じゃんけんしょうぜ」に素直に参加できましたか?
 最後に、遅れてきたお友達がいなかったら、どうなっていたでしょうか?
 面白いですね。
山田隆文の歯医者さん日記

 感情は、複雑に絡み合っています。
 感情は感情を呼びます。
 感情は感情を鎮めます。
 感情は変化できるんです。
 ただ、素直に感じさえすれば。
 ただ、素直に流してしまえさえすれば。
山田隆文の歯医者さん日記

 座禅を組むと、「雑念を捨てなさい」といいます。
 でも、本当に、そんなことができるのでしょうか?
 捨てよう捨てようと想えば思うほど、どんどんどんどん雑念がわき上がってきます。
 ふと気がつくと、変な考えにとらわれています。
 その瞬間!
 ばしっ!
 と、肩に警策(きょうさく:お坊さんの持っている平たい棒)が飛んできます。
 その意味は、渇を入れる。
 文殊菩薩による励ましなのだそうです。
 お坊さんには、あなたの心の雑念がお見通しなんですね。

 さあ、ではどうしたらいいんでしょうか?
 ただ、感じてください。
 です。
 雑念を、ただ、目の前を流してしまいます。
 「ああ、そういうこともあるよね~!」です。
 それだけ。
 簡単ですね!

 感情も同じ。
 捨てようと想えば思うほど、感じまいと想えば思うほど、感情はあなたにつきまとってきます。
 だから、
 ただ、感じてください。
 ただ、流してください。
 「ああ、そんな感情、今、感じているよね~!」です。
 おしまい。

 えっ?
 うまくいかないって?
 それは、また、次の感情のところで。