さあ、<恐れ><怒り><嫉妬><喜び>と、感情を分類してきました。
前にも書いたように、これらの感情は、一人称です。
自分の中で起こっています。
次の感情は、<同情>と言います。
<同情>は、自分の中にとどまっていないで、外に出て行く感情です。
人間関係が、作られ始めました。
前に、原始人さんのお話をしました。
暗闇を<恐がり>、獲物が捕れないことに<怒り>を感じ、隣の原始人が大きなマンモスを捕ったことに<嫉妬>を感じた原人さんも、ついに、大きな獲物をしとめました。
<喜び>を感じました。
おなかいっぱい食べて、満足です。
と、近くの洞窟の別の原始人さんの家族が、しばらく何も取れずに、おなかをすかせていました。
原始人さんは、マンモスの足を一本もっていってあげました。
<同情心>ですね。
お裾分けにあった隣の原始人さんが、感謝をしました。
なんだか、いい気持ちになりました。
さあ、前の前に、泣いている子どもがいます。
あなたなら、どうするでしょうか?
目の前に、落ち込んでいる人がいます。
あなたなら、どうするでしょうか?
一緒に、泣きますか?
肩を抱いて、癒してあげるでしょうか?
もちろん、それは、1つの方法です。
効果も絶大です。
さて、<同情>という感情には、おもしろい特徴があります。
<同情>で感じている感情は、あくまでも、ネガティブな感情だけだと言うことです。
<恐れ>に<同情>した。
<怒り>に<同情>した。
などは、ありますね。
でも、<喜び>に<同情>したとは言いませんね。
ちょっと、不遜な表現ですが、<同情>心は、どうしても、自分よりも弱い立場の物事に対して感じてしまうようです。
お父さんが、ペットショップで、ぷるぷるふるえている小さなチワワを見て、つい……
「どうする、あ◎ふ▲」というやつですね。
巨大なゴジラに同情する?って、変ですね。
一見、素晴らしい感情のように思える<同情>ですが……
実は、ちょっと、困った問題もあるのですね。
さて、ブラックジャックによろしくというマンガがベストセラーになりました。
テレビドラマにもなりましたね。
主人公の研修医が、いろいろかを研修する中で、医師としてのスタンスを勉強していきます。
そして、誰でも陥る問題に直面します。
それは、患者さんに<同情>をしてしまうと言うことです。
<同情>の問題点は、相手の側に入り込みすぎてしまうと言うことです。
すると、どうなるとおもいますか?
ブラックジャックによろしくの齋藤君の葛藤を見て下さい。
冷静な判断力を失ってしまいます。
患者さんにとっては、確かに医師は一人です。
でも、医師には、他にも診なくてはならない患者さんがたくさん居ます。
と、他の患者さんは?
冷静な判断力は?
と、相手に引きずられてしまう結果になります。
原始人の話も同じです。
何度も余ったマンモスの足をあげていると、相手が<依存心>を持つようになってしまいます。
また、おこぼれをもらおう!
そう、思わせてしまったら、失敗です。
それでは、逆に、重荷になってきてしまいます。
でも、それにはまってしまう人って、結構、多いんですよね。
もちろん、正しい使い方がありますので、ご安心下さい。