山田隆文の歯医者さん日記

 さあ、感情を感じているのは、あなただけではありません。
 この世の中に、生きとし生けるもの、みんな感情を感じています。
 あなたが感じている<恐れ>も<怒り>も<嫉妬>も、そして<喜び>も、誰もが感じています。
 ただ、前にも書いたように、物事は中立です。
 ですから、感じ方はそれぞれ違います。
 あなたが<怖い>と感じているものを、ある人は<楽しい>と感じるかもしれませんし、あなたが<好き>なものを別の人は<嫌い>かもしれません。
 でも、人は、自分が「こう感じているんだから」、他の人もきっと「同じように感じるんだ」と思い込んでいます。
 でも、そんなことはないんですね。
 みんな、違った感じ方をします。
 もし、みんな同じだったら、面白いと思いますか?
 それぞれが違った側面から物事を見ているから、いろいろな見方と、いろいろな感じ方が生まれて、バリエーションが生まれるのですね。

 学生さんに、こんなゲームをしました。
「三つの丸と、その真ん中を通る一本の線を描いてください」
 さあ、どんな絵が描けたと思いますか?
 ここで気がつかれた人は、もう大丈夫。
 だって、
・どんな丸か
・大きさ
・配置
・どんな線か
・まっすぐ、それとも曲線
などなど、なんの条件も与えていません、

 ですから、自分の記憶と経験と感じ方で、いろいろな絵が描けるんです。

 それでは、感情の感じ方をおさらいしてみましょう。
 原始人さんに登場していただきます。
山田隆文の歯医者さん日記

 まず、一人称でいきます。

 原始の時代、夜、光はありません。
 夜の森には、猛獣がたくさん住んでいました。
 それは、死に繋がります。
山田隆文の歯医者さん日記

 ですから、死は、<恐怖>の対象です。
 怖いので、原始人さんは、獲物が十分に捕れません。
 お腹も空いています。
 怖い奥さんが、「あんた!隣の原始人さんはマンモス捕ってきたわよ!」なんて言います。

 さあ、隣の原始人さんは獲物で大宴会中です。
 「どうして、俺にはダメなんだ!」と、<怒り>を感じます。

 「いいなあ」と、うらやましさと<嫉妬>を感じます。

 と、お隣の原始人さんが、食べきれないマンモスの足を持って、お裾分けに来ました。
 「喰いきれないから、喰ってくれよ」
 原始人さんは、<喜び>を感じました。

 さあ、この原始人さんは、<恐れ>から<怒り>、そして<嫉妬>を感じて、最後には<喜び>を感じました。

 今度は、二人称で見ていきます。
 あなたは、お隣の大宴会中の原始人さんです。
 あなたは、始めの獲物が捕れない原始人さんを見ています。

 その原始人さんは、一度、猛獣に追いかけられたことがあって、猛獣を怖がっています。
 奥さんが、ふがいない旦那さんに怒っているのが見えます。
 宴会中に、うららましそうな視線を目にしました。

 あなたは、マンモスの足を一本取り上げました。
 だって、冷蔵庫のないこの時代、肉はすぐに腐ってしまいます。
 それならば、食べて貰おうと思いました。
 マンモスの足を持って行くと、お隣さんはたいへん喜んでくれました。
 あなたも嬉しいです。

 さあ、感情のキャッチボールにお話しをすすめていきましょう。