それは、一匹のアリさんから始まります。
あるとき、バスに乗りました。
と、窓枠の所を、一匹のアリさんが歩いていました。
もちろん、レセプターのない人は、それでおしまいです。
でも、感性豊かな私(自画自賛!)。
目的地に着くまでの20分あまり、色々な事を考えます。
『アリさんて、共同生活をするんじゃ????』
アリは、一匹だけで、生きていけるのでしょうか?
アリは、女王アリを中心に、働きアリや兵隊アリなど、いろいろな分業体制で共同生活を営んでいます。
それが、集合体から一匹だけ切り離されたとしたら?
(まるで、スタートレックのボーグみたいですが、本当に、そんなエピソードもありました)
アリさんは、何を考えて、どうやって生きて、どこへ行くのでしょうか?
おサルさんも、共同生活を営みます。
前に紹介したゴリラさんもまた然り。
人間との違いはただ1つです。
強くなければ、そして、群れのみんなに認めてもらわなければ、リーダーにはなれませんね。
サル山のボスは時々世代交替をします。
一方、クマさんなどは、どちらかというと一人で生きていきます(子育ての時期を除いて)。
独立独歩です。
どっちの生き方がいいのでしょうか?
答えはありません。
クマさんなどは、自分で餌を探し、ねぐらを作る事が出来ますので、基本、一人でも大丈夫です。
でも、アリさんは、共同生活をしなければ、一人で餌をとって巣を作れませんし、子孫も残せないので、生きていけません。
それぞれの種に与えられた運命です。
さて、人間です。
ブッシュマンやエスキモーなど、一人で草原や氷原で生きていけます。
モンゴルの遊牧民も、テントを持って広い草原を旅します。
(これは、笑い話ですが、最近は、ゲル(テントの事)の脇に太陽電池パネルと、衛星用のパラボラアンテナまであって、携帯電話やテレビまで見られる始末と、知り合いのカメラマンの杉山晃造さんが言っていましたが……)
(http://www.amazon.co.jp/モンゴルの曼荼羅-モンゴルの美術-杉山-晃造/dp/440401435X/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1316313575&sr=1-1)
でも、普通の人々は、一人では生きていけません。
自分で田畑を耕して、家を建てて、電気や水道や……。
いつかは、自分でログハウスを組み立ててみたいと思っては居ますが、やっぱり、一人の力で生きていくのはなかなか難しいですね。
それぞれの人が、それぞれの職種で、分業しているから生きていけます。
もちろん、歯医者さんも同じ。
チーム歯科医療です。
歯医者さんだけでは治療は出来ません。
歯科医が居て、歯科衛生士が居て、歯科技工士が居て、受付が居て、業者さんが居て、ユニットや器材を作る会社があって、もちろん、患者さんが居て、地域の住民と仲良くやって、ようやく歯科医療が成り立ちます。
去年参加した、新潟福祉医療大学を中心とした連携教育セミナーでは、いろいろな医療福祉の職種を目指す学生さんのチーム医療福祉の練習でした。
さて、歯医者さんの求人広告には、こう書いてあります。
『協調性のある方』
この協調性の意味は、言葉通りではありません。
「院長の言う事には、逆らわずに、したがえよな!」という意味です(笑)。
黒柳徹子さんの「窓際のトッとちゃん」では、就活の時に、『細面』(委細面談)という文字を、太っている人はダメだと思ったという笑い話がありますが……。
ある卒業生。
「院長の言う事には、絶対命令」
といわれたとかで、凹んでいます?
さてさて、基本的にはラーメン屋さんや花屋さんと同じ個人経営の多い歯医者さん。
会社組織(医療法人)になったのは、1~2割。
ですから、労働基準法も読んだ事ないし、求人票の書き方を知らない先生も居る。
本当に笑い話ではない、本当にあった話。
『残業有り・残業手当なし』
『有給休暇なし』
どう数えても、就業時間は40時間を超えている!
有休と書いてあっても、実際には取れない。
診療時間=就業時間で書いてあって、実際の出勤はもっと前、帰れるのはずーっと後。
タイムカードは、白衣に着替えてから押して、私服に着替える前に押せ!
「私だって、遅くまで働いているんだから、スタッフだって私に付き合え!」
をいをい。
新潟の歯医者さん。
それでは、歯科衛生士さんは来てくれなくなりますよ!
東京などの首都圏では、歯科衛生士さんの慢性人手不足。
10000件以上の歯医者さんがあって、登録している歯科衛生士さんの数は8000人代。
だから、首都圏の福利厚生はどんどん良くなっています。
地方出身者の住宅手当は上乗せ!
有給休暇など、ちゃんと国際会計基準!
うちに来ている求人票では、初任給280000円も!
さて、実際のところ、歯学部の教育では、チーム歯科医療の文字はあっても、実践は教えていません。
シラバスには、こうあります。
『チーム歯科医療が説明できる』
説明できたって、実践できなければなんの役にも立ちません。
ですから、いざ、自分が開業したときに、歯科衛生士さんや歯科技工士さんとどのように付き合っていいのか、知らないんです。
歯科衛生士さんの業務すら知らない人も。
歯科助手さんは、患者さんの口の中に手は突っ込めませんよ!
スケーリングなんて、もってのほか!
歯科衛生士さんは、レントゲンのスイッチは押せませんからね!
歯科技工士さんは、患者さんの口の中を触っちゃダメですよ!
スタッフなんて、頭ごなしに「……しろ!」なんて言っても動きませんよ!
ある知り合いの歯医者さんの歯科衛生士さん。
昼休みに、とらばーゆ見ながら、「あっ、こっちの歯医者さんの方が、時間が短くて、給料も高い」なんて言いながら、マーカーペンで印を付けて、院長が見えそうなテーブルの上に!
さてさて、歯医者さんは、サル山にでも放り込んで、お勉強をした方がいいのかな(笑)?