ちょっと、待ってください!
山田隆文の歯医者さん日記

 では、何が、あなたが素直に感情を表現することを妨げているのでしょうか?
 あなたの心に、こんな、標識があるんでしょうか?
 車を運転していて、標識を無視すれば、ホグワーツの寮生のようにスネイブ先生に減点されてしまうのですが……
 でも、心だから減点はされませんね?
 この標識は、誰が建てたのでしょうか?
 心当たりがありますか?
 もし、無いのであれば、とっちゃって下さい。
 誰にも怒られません(笑)。
山田隆文の歯医者さん日記

 さて、あなたは今、心の渋滞のまっただ中にいます。
 前も後ろも、上も下も、右も左も、これまできちんと<感じて>もらえなかった<感情>がスタックしています。
 お盆休みの大渋滞で、100キロなんてのも報道されていました。
 私たちの心の渋滞は、どれくらい続いているのでしょうか?
 1キロですか?
 10キロですか?
 それとも、100キロですか?
 それとも、生まれた時からずっと……?
 よく、「渋滞の一番前は何をやって居るんだよろうね」なんていう漫才がありました。
 一番前は渋滞していないんですね。
 ただ、ちょっとしたカーブや、トンネルや、坂道があるだけなんですね。
 と、一瞬、ブレーキを踏みます。
 私たちの反応速度は0コンマ何秒です。
 でも、それが、10台、100台と繋がっていくと、大きな時間になっていくのだそうです。
 心もおんなじじゃないですか?
 ちょっとした切っ掛けで出し切れなかった<感情>が、ちょっとずつ、ちょっとずつ、溜まっていったのですね。
 それが、人生の何十年かを経て、今のあなたを作って居るんです。
 さあ、もう一度、許可を与えて下さい。
 渋滞の尖端の<止まれ>の標識を取り除いていいんですよ。
 雨の後は、青空が広がります。
 あなたの心も、もう、青信号なんです!

山田隆文の歯医者さん日記

 あなたが、この世に、おぎゃあと生まれたその瞬間!
 あなたの心は、日本晴れだったに違いありません。
 生まれた時から、ストレスの固まり、なんて人はいないですよね?
 お腹が空けば、「おぎゃあ」と泣くことができました。
 おしっこが漏れれば、「おぎゃあ」と泣くことができました。
 お母さんの顔が見えなくなって、寂しくなれば、素直に「おぎゃあ」と泣くことができました。
 なんの遠慮もなく、感情を、自由に表現していました。
 ご機嫌のあかちゃんは、にこにこ笑っていましたね。
 それで、良かったんですよね!

 では、あなたは、いったい、いつから<感情>を素直に表現できなくなってしまったのでしょうか?

 <感情>を素直に表現してはいけませんよ。
 こう言った時には、こういう風に行動しなさい。
 靴はそろえて。
 上着を脱いだら、ちゃんと、ハンガーに掛けて。
 人前で、騒いじゃいけません。
 お勉強しなさい。
 野菜も食べなきゃ、駄目よ。
 いい学校には行って、いい会社に就職して、いいお嫁さんをもらって、お母さんを安心させて。
 男なんだから、もっと、しっかりしなさい!
 女の子なんだから、おてんばしちゃ駄目よ!
 などなどなどなどなど……

 気が付いたら、私たちは、レールに乗っかっていました。
 あれ?
山田隆文の歯医者さん日記

 大学や短大や専門学校に行きます。
 この勉強をしないと、資格が取れないよ。
 単位が足らないと、卒業できないよ!
 先生の言うことを聞かないと、就職世話してやらないよ。

 大学を出て、社会人になりました。
 就職をします。
 会社のしきたりがあります。
 上司のお酒の誘いには付き合わなくてはいけません。
 セクハラも、パワハラもあります。

 あれ、子供の頃には、色んな夢を持っていたはずなのに?
 なんで、思ったとおりにいかないんだろう。
 この、線路、あってるんだろうか?
 あれ、引き込み線だ!
 先がないの?
 なんか、変じゃないですか?
 赤ちゃんの時の、あの、自由!
 いったい、どこへ行ってしまったんでしょうか?

山田隆文の歯医者さん日記

 さあ、もう一度許可を与えて下さい。
 誰かが作ったレールの上を走るのか、それとも、自由であるのか。
 確かに、もうすでに敷かれているレールの上を、何にも考えずに生きていくことは、非常に楽です。
 朝仕事に行って、ノルマをこなして、仕事が終わると、赤提灯に行って、風呂入って、野球中継でも見て、日曜日は、家族サービスでもしようか……
 でも、ある日、自分で決断をしなくてはならない時が来ます。
 定年です。
 さあ、あなたは、どうされますか?
 確かに、自由には、責任が伴います。
 自分で考えて、自分でリスクを負わなくてはなりません。
 これも、選択なんですね。
 自由に選択をする自由があるのです。

 さて、<感情>は、きちんと感じていれば、海の波のように、寄せては返し、よどむことはありません。
 それが、自然な姿なのですね。

 では、また、ひとつ参考文献です。
 ポール・ギャリコの書いた「雪のひとひら」と言う物語です。
 ひとひらの雪の結晶が、小さな流れとなり、河となり、やがて海に出て、空に帰って行く。
 たった、それだけの物語です。
 でも、これも、あなたの心に<感情>を素直に感じる受容体があるかどうかの、リトマス試験紙のような物語です。
 適当に、読み流してしまうでしょうか?
 それとも、「ああ」と、何か、感じるものがあるでしょうか?
 是非、挑戦をしてみて下さい。