山田隆文の歯医者さん日記

 さあ、鏡を見て、笑って下さい。
 こんな顔じゃないですよね?
 顔の筋肉をゆるめて下さい。
 目の力を抜いて。
 口を開いたり閉じたり、ひょっとこのように尖らせたりして、表情筋をストレッチして下さい。
 あんまり長いこと、無表情だったり、しかめっ面をしていると、顔の筋肉だって、そんな風に固まってしまうんです。
 前に、自分の人生を作るのは自分自身の選択であると書きました。
 自分の顔にだって、あなたの責任があるんです。
 さて、笑顔ですが、とある韓国スターの様な、固まった笑顔ではいけません。
 彼は、ファンに「表情がきつい」と言われたので、半年間も一生懸命笑顔の練習をしたのだと、テレビのインタビューで答えていました。
 ですから、ただ、笑顔を作ればいいのではありません。
 防御のために笑顔を作り出して言えるという、笑い鬱病というものもあるんです。

山田隆文の歯医者さん日記

 優しい笑顔の作り方です。

 私は、医療系であることは前に書きました。
 時には、一日に50人もの患者さんを初診で診なくてはならないこともあります。
 その時に、どこを見て・観て・診て・看ているかです。
 顔を見ています。
 表情を観ています。
 微妙な目の動きを見ています。
 眉毛の微妙なぴくっと言う動きを見ています。
 そして、その時に話している言葉の意味と、表情が一致するかを観ています。
 これだけで、患者さんのことが相当わかるのです。

 さて、あなたの顔も、あなたの選択の結果としてできあがったと言いました。
 一朝一夕でできあがったものではありません。
 この世に、おぎゃあと生まれて、今日現在のあなたができあがるまでに感じた、すべての出来事や、その時に感じた感情、周りの人から与えられた感情などが、ひとつひとつのパーツとなって、今のあなたを作り出して居るんです。
 エリクソンの発達段階を順調にクリアした人には、笑顔があります。
 でも、ハードルを跳ばなかったり、逃げたり……。
 あなたのアイデンティティが崩壊していると、顔がこわばっています。
 ですから、あなたの表情には、あなたの経験がすべて詰まっています。

 「じゃあ、その経験を変えることなんてできないじゃないか!」という声が聞こえそうです。

 そんな人には、こんな例を出しています。

 お釈迦様が修行に出たのは、30歳です。
 「行かないで」とすがる奥さんと、乳飲み子を見捨てて、家を出てしまいました。
 悪いお父さんですね。
 イエス・キリストが悟りを開いたのも30歳です。
 そして、二人の聖者は、共に、自分の中の<悪>と戦って、この、<恐怖>に打ち勝ったのです。
 さて、私たち凡人には、そこまでの覚悟もないかもしれません。

 でも、非常に簡単な方法があります。
 よく、お友達の家に招待されると、「あれっ?」と思うことがあります。
 私の部屋には足の踏み場もない、溢れんばかりになっている本の山があります。
 でも、本棚というものがないんですね。
 私たちは、嫌な感情を体験したくはありません。
 でも、本の中の主人公の体験なら、自分は痛みませんから、大丈夫です。
 多くの先人達の経験や葛藤が記されています。

 「感動した」と言って、今は物議を醸し出した総理大臣が居ますが……
 実は、この「感動した」と言うことが重要なんです。
 テレビドラマでも、映画でも、本でも、絵画でも、彫刻でも、風景でも、何でもいいです。
 心が震え、涙が溢れ、そんな経験を最近してますか?
 実は、そういった<感動>の経験そのものが、爽やかな<笑顔>を作り出していくんです。

 最近、感動していないぞ!という面々!
 本屋さんへ行きましょう!
 映画を観に行きましょう!
 いろんな、経験をしましょう!
 夏休みって、いいチャンスです!