別に、京都に来ているから神社仏閣ではない。
 Mr.サンデーで、就職氷河期の特集をしている。
 バブル崩壊後の就職氷河期よりも、今の就職率は低いそうだ。
 最近は、インターネットでエントリーし、面接をし、合否通知もメールで届く。
 だから、お祈りメールなのだそうだ。
 時には、インターネットでの会社説明会の申し込みは、申し込み同時にあっという間に埋まってしまい、エントリーすらできないこともあるそうだ。

 その点、歯科業界は恵まれているのだろうか?
 研修医にはマッチングシステムなんてのがある。
 研修病院がたくさんあって、卒業生は、自分と合いそうな病院を、まさに、お見合いのようにマッチングする。
 まあ、どちらかというと売り手市場だ。
 豪遊はできないまでも、まず、資格があれば食いっぱぐれない。
 医師研修医のほうでは、研修病院の求人のほうが多く、逆に、大学病院よりも、総合病院などに流れて、大学病院に人手不足が起こる。
 大きな大学病院が、地方病院から派遣のドクター(ドイツ語でジッツェという)を引き上げなければなりたたなくなり、地方病院がつぶれるなんて言う報道もあるくらいだ。

 バランスというのは、なかなか、難しいものだなと思う。
 歯科医師は多すぎるから、減らせと言われ、歯科医師国家試験はだんだん難しくなる。
 一方で、産婦人科や小児科が足りないからいっぱい増やせと、医学部は入学定員を1割増員した。
 でも、その増えた分が、必ずしも産婦人科や小児科や、地方病院の勤務医になってくれるかといえば、必ずしもそんなことは言えない。
 前に、ちょっと出向で働いていた地方病院では、自治医科大学の卒業生が結構きていた。
 最近では、自治医科大学や防衛医大を卒業して、授業料を返して、そのまま就職しない人も多いとか。
 歯科医師だって、足りないと言われて、歯科大学や歯学部がたくさんできた。
 で、増えたから、大学院大学にせいとか、定員を減らせとか。
 だいたい、医師や歯科医師の教育には、6年。
 さらに、研修医を経て、使い物になるには10年以上も必要なのだから、数字の上だけで胸算用をしてもうまくいくはずもない。
 アイザック・アシモフの「銀河帝国の興亡」シリーズのように、セルダン博士の発明したマスとしての人類の確率計算でも行わない限り、難しいだろうと思う。

 さて、今日のFDフォーラム。
 一方では、FDで、教育改革を謳う。
 そこのところは、演者はなかなか触れようとはしないが、実際には、カダフィ大佐のような抵抗勢力がたくさんいる。
 しかし、一方では、卒業生を就職に導かなくてはならない。
 文部科学省は、これを、就学力と呼んでいる。
 (実際には、定義はないそうで、各学校で、定義を考えなくてはならない)
 ここでも、なかなか、バランスが難しい。
 学生中心の講義と言いながら、学生の学力や実践力も上げ、なんて、どうやればいいのだろうか?
 学生は、面白くなければ、食いつかない。
 面白い授業が必ずしもいいとは限らない。
 学生が、自分で探求心を持って、考えて、調べて、問題解決をしていく。
 今年、私の提案で、大学の教育目標やカリキュラムポリシーに手を入れて、そんな文言を付け加えた。
 では、具体的に、そんな学生をどうやってモチベーションを上げて、育てていくのか。
 課題は、まだまだ残る。
 学生のヒーヒー言っている宿題よりも、こちらの課題のほうが、緊急性を要する。
 でも、フォーラムの講師の先生方からも、やっぱり、回答は得られなかった。

 さてさて、日本の教育はどうなるのでしょうね。