$山田隆文の歯医者さん日記

 http://books.rakuten.co.jp/rb/三国志(1)-吉川英治-9784061965331/item/347786/

 夕べはレッドクリフをやっていた。
 卒業生達と焼き肉を食べに行っていたので、途中から。
 (そうそう、私の部屋はいつも学生でいっぱい。
  ある食べ物屋さんでちょっと前のこと。
  隣に座ったおじさんが、「いやあ、私も若い女の子達に囲まれて食事をしてみたい」との賜った。)
 ご存じ、三国志の一部である。
 レッドクリフだから、赤い崖=赤壁の戦いを描いたものだ。
 三国志の一大クライマックスだ。

 80万の曹操軍が、5万の孫権・劉備軍と戦う。
 戦略的には、呉の水軍の将を取り込んだ曹操に、地の利を含めて有利さがある。
 でも、それを跳ね返す諸葛孔明(金城武)と周瑜。

 まあ、結果的には曹操は女に負けた。
 周瑜の妻の小喬(リン・チーリン)。
 一人、敵軍に乗り込んだ小喬は、曹操に茶を入れながらこう言った。
 茶碗からお茶をあふれさせ、「あなたは、茶をわかっていない。あなたは、このお茶のような人だ。人の言葉を聴く耳を持たない」といった。
 曹操は頭痛で判断力を失う。
 (この下りは原作にはないのだが……)

 これは、禅の世界で使われる茶の湯の禅事で有名なエピソードだ。

 曹操軍と劉備・孫権軍の違い。

 曹操は、自分に逆らう将兵の首をはねてしまう。
 恐怖政治だ。
 傷病兵まで、涙を誘う演説で奮い立たせてしまう。
 医師の華陀は恐れて逃げてしまう。
 (吉川三国志には、華陀が曹操の入れ歯を調整しているシーンもあるが、これは、ご愛敬。)
 孫子の兵法である。

 一方、周瑜は過ちを犯した部下を救う。
 アサーティブでコーチング・メンタリングをわかっている。

 部下のモチベーションは雲泥の差。
 曹操の腹心達は、最後には、「あの女(小喬)のせいだ」なんて言い始めて、小喬を人質に。
 (原作では、そんな小さい将ではないのだが……)

 原作にないといえば、中村獅童の演じた甘興。
 とくに、話の筋に必要がないような気もするのだが……。
 無理矢理、甘興をモデルに、中村獅童の為に作った役所のような気もする。
 そう思うのは私だけ?

 ランチェスター戦略では、こう考える。
 戦略と戦術がある。
 戦略は地の利や将兵の配置、周辺国との連合や裏切りなど、実際の戦争も始まる前に整えておくべき事。
 戦術は、すでに戦争が始まったときの、それぞれの手段である。
 多くの戦闘は、戦略レベルで勝敗は終わっている。

 歯科医院も同じなのかな?
 と思った。
 まずは戦略レベル。
 院長のコンセプト。
 開業場所(商業地か住宅地か……)。
 患者さんのターゲットはどの層なのか。
 開業スタイルは?
 などなど。

 でも、大事なことは曹操にならないこと。
 院長は、ついつい、力でスタッフを押さえつけてしまおうとする。
 「○×できなかったら、給料を減らす」
 実際、中国を統一した曹操も、次の代で、あっという間に北方民族に占領されてしまった。
 魏の歴史は短命だったのだ。

 ポジティブシンキングに変えなくてはならない。
 「○×できたら、インセンティブを付けるよ」

 東京の歯科医院に勤める卒業生に訊いてみた。
 「有休は全部取れって言ってます。余った分は、お金でくれるそうです」
 すでに、国際会計基準に従っている歯科医院も増えてきている。
 歯科業界も、徐々に、変わり始めているのかなと思った。