人体の不思議展が、話題になっている。
http://www.jintai.co.jp/
http://ja.wikipedia.org/wiki/人体の不思議展
争点は、こうである。
「標本か死体か」
もちろん、人の体である。
死体である。
その気持ちを忘れてしまったら、医療従事者ではない。
始めは、医学的な意味として、グンター・フォン・ハーゲンスが開発したプラスティネーションという方法で、これまでとは全く別の方法で遺体を防腐処理、しかも、生々しく表現できる方法だったので、世界中で話題になった。
もし、人類の科学技術の発展という意味であれば、十分に価値がある。
亡くなるときに、自分の体を献体として捧げた尊い気持ちを感じた。
献体といえば、先頃亡くなった、細川俊之さんが献体をしたことでも記憶が新しい。
私たちも、歯学部の3年の時に、白菊会(http://ja.wikipedia.org/wiki/白菊会)という献体の会のご協力の下、尊いご遺体をの解剖をさせていただいた。
その後、口腔外科を目指し、病理の大学院に進んだから、病理解剖も三桁の数は経験をした。
系統解剖は、ホルマリンで固定された人体の勉強のために神経や血管や臓器の位置や構造を覚えるために行う。
一方、病理解剖は、まだ亡くなって間もないご遺体の、死因を探るために行う。
すぐに、ご家族に返さなくてはならないから、死後数時間。
まだ、暖かい。
まあ、多くの医師も歯科医師も、その時の感動や経験を忘れてしまうことが多い。
しかし、現在は、別の団体の標本(ご遺体)を使っている。
展示方法も、ポーズを取らせたり、グッズの販売があったり、商業意識が見え見えになってしまった。
欧米では、営利目的の展示会を認めない方向になった。
日本でも、ようやく、京都府警が重い腰を上げた。
厚生労働省の考えは、あくまでも死体である。
もっとも、発掘された化石やミイラはどうなるのか?
けっこう、玉虫色の部分もあるのだが……。