$山田隆文の歯医者さん日記

 ちょっと、ご機嫌斜めのネコさんです。
 ご機嫌斜めなのは、ネコさんだけではありません。
 歯科衛生士さんだって怒っています。

 仕事柄、卒業生からいろいろな相談を持ちかけられます。
 その多くが、歯科医師のモラルの問題。

・「辞める」と言ったら、「1年前に言え」と言われた
 (公序良俗に反する規定は、民法、労働基準法が優先します)
・「辞める」と言ったら、「おまえのこと、使えない歯科衛生士だと歯科医師会の仲間に言いふらしてやる」と言われた
・「忌引させて」と言ったら、嫌な顔をされた
・有給なんて聞いたこともない
 (半年常勤だったら、10日間与えなくてはなりません。もちろん、従業員が休みたいときに休めます)
・どう考えても、週40時間以上働いている
・残業しても、残業代はない。「当たり前だ」と言われる。
 (法的には40時間。越える場合には労使双方の合意で変形労働時間もあり(早番や遅番、10時間4日間もあります)。もちろん、40時間を超える部分は手当を付ける。)
・日曜日に「研修会へ行け」と言われる
 (法的には、命令の場合には仕事とみなされるので代休か休日出勤手当が必要)
・就業規則がない
 (法的には10人を超える職場では必須)
・就業規則に「すべて院長が決める」と書かれていた
 (労使双方の合意です)
・従業員が5人になると厚生年金にしなくてはならないので、4人で回している
・雇用契約なんてしていません!
・試用期間1年だと言われた。
などなどなど、私の耳に入っただけでも、枚挙にいとまがありません。

 なぜって?

 まず、歯医者さんは、経営学を学んでいません。
 労働基準法なんて、読んだことがありません。
 基本的には、ほとんどの歯医者さんは個人事業です。
 法人化(会社組織)になっているのは2割もありません。
 ですから、花屋さんやラーメン屋さんと同じ。
 むしろ、今は、そちらの方が労働環境はいいかもしれません。
 ですから、院長としては、「俺は、残業して頑張っているんだから、おまえらも働けよ」と思いがちです。
 でも、事業主と、従業員は違います。
 たとえば、私も教務部長という仕事をしています。
 ですから、管理職には残業代はありません。
 毎日、8時前に大学に行って、大学を出るのは夜の10時過ぎです。
 毎日14時間以上も働いています。
 でも、それを、部下に命じたら、ダメです。
 そこが、難しいところです。

 今度、平成22年4月から労働基準法も厳しくなりました。
・月に60時間を超える残業手当は、50%割り増し
・有給は時間単位で行使可能

 歯医者さんも、歯科治療以外のことも勉強しなくてはならない大変な時代になりましたね。