$山田隆文の歯医者さん日記


 歯が欠けた。
 右上の親知らずである。
 10年ほど前に、咬合面にむし歯があったので、とりあえずコンポジットレジンを詰めておいた。
 でも、右側の親知らずは上下咬んでいるので、そのまま使っている。

 と、先週のある日、別に固いものを咬んでいたわけでもないのに、ごりっという感触を感じた。
 ついでに、頬に尖ったものが当たる感触。
 舌で探ると、8番の遠心がかけている。

 さあ、そこで問題である。

 誰に治してもらうかである。

 また、会いたい歯医者さんもいれば、もう二度と会いたくない歯医者さんもいる。

 残念ながら、短大の診療所の私の主治医は、数年前に実家の静岡県で開業してしまった。
 そういえば、今いる先生達には、一度も、口の中を診て貰ったことがない。

 やはり、医療は信頼関係の上に成り立つ。

 ということで、数日我慢をして、東京に戻って、気心の知り合いの歯科医に治して貰った。

 とはいえ、歯科治療は……。

 久しぶりに治療を受けて、患者さんの目線で歯科診療を観察すると、いろいろと、気づかされることがある。

・コントラエンジンでがりがりやると、けっこう脳天に響く
  これは、患者さんに削る前に伝えないと!
・タービンの水は結構まずい!
  しかも、歯やレジンの削りかすが加わるので、さらにまずい
・コンポジットレジンのプライマーもボンディング剤も、結構、まずい
  昔、リベースをしたばあちゃんに、こう言われたことがある。
  「こんなまずいもの喰わされたの、初めてだ!」
  心しなくてはならない。
・咬合が難しい
  詰めたところ、結構気になる。
  何度調整して貰っても、しっくりこない。
  簡単に、「慣れますよ!」なんて言ってはいけないなと思った。

 ホテルでは、ホテルマンがお客さん役をして、客室に泊まるところがあるそうである。
 「ドクター」という映画では、最後に、研修医に患者体験をさせた。
 歯科治療も、患者さんの気持ちを忘れてしまった歯科医療従事者には、トレーニングの方法を考える必要がありそうだ。

 ということで、むし歯も治して、これから、卒業生とディナーに行ってきます。