やや重いテーマかもしれません。
 <変化>とそれに伴う<恐怖>のお話です。

 今朝のことです。
 資料が欲しいので連絡をした同僚から電話がありました。
 「ちゃんと配ってますよ」
 でも、無いんです。
 後で出てきた資料は、タイトルも違います。
 でも、「資料は出した、説明はした」の一点張りです。
 もちろん、相手には、伝わっていないんです。
 「話したつもり」でも、「伝わらない」では、話さなかったのと同じです。
 でも、一生懸命、取り繕おうとします。
 何で、そんなに自分のミスを覆い隠そうとするのか、電話のこちらでは、かわいそうになるくらい必死でした。

 さて、原因は<恐怖>にあります。
 ミスをした自分を見られたくない。
 だれだってそうですね。
 いままで、習慣でやってきたことをそのまま続ける方が楽なんです。
 なんの努力もいりません。

 ですから、急に配置転換されたサラリーマンが、鬱状態になってしまったり、仕事を辞めてしまったり。
 新しい環境になれていくという免疫が無いんです。

 さて、<失敗>=ミスです。
 今、バルセロナオリンピックが開催されています。
 優勝した選手はもちろん素晴らしいですが、それ以外の選手にも目が行きます。
 今朝は、スノボードクロスの中継でした。
 転んでしまう選手も居ますし、デッドヒートでぶつかりそうになる選手も居ますが、みんな、お互いの成績をたたえ合うほほえましい姿が映し出されています。
 さて、ここで、民族性が顔を出します。
 <失敗>することを恥とする日本人。
 協調性と、目立たないことが重要です。
 そのくせ、アイドルなどにはきゃーきゃー言います。
 だから、競技に失敗すると、目に涙を浮かべて肩を落として落ち込みます。
 報道陣の前を素通りしていきます。
 日本人の責任の取り方は、起こった問題を解決するのではなくて、辞職することです。
 民主党の起訴された石川知裕議員。
 民主党に離党届を出すことで責任を取ります。
 小沢一郎氏は、起訴されなかったことで少々強気になっています。
 鳩山由紀夫首相は、野党の時には「秘書が逮捕されたら議員も辞めるべきだ!」と言っていたのに、いざ与党になったら腰が引けてしまっていると、議会で叩かれていました。
 「ばかやろ~!」と言って解散した吉田茂首相なんて格好いいですね。
 さて、欧米の選手は、<失敗>すると、あからさまに大きな声を上げて、おおきなジェスチャーで悔しがります。
 むしろ、「次は頑張るぞ!」という気概を感じて、爽やかな気持ちになります。
 報道陣の前は「こんどはやります!」と言い残して去っていきます。
 欧米では、自己主張をしてなんぼです。
 自分の意見を言えなければ、生活が成り立ちません。

 もちろん、どちらが優れて、どちらが悪いわけではありません。
 要はバランスなんですが、そのバランス感覚を身につけるには感性を育てるしかありませんね。

 
$山田隆文の歯医者さん日記

 この写真は、日本の教育を培ってきた「子曰く……」の孔子様です。
 東京の湯島の孔子廟(湯島聖堂)にあります。
 江戸時代からつい最近まで、日本の儒教と教育方針の中心をなしてきました。
 厳しい感じですが、実は、教育をするのに都合の良い所だけを使っていました。
 けど、結構、悩んでいるんですね。
 最後には、こんな言葉を残しています。
 「方の外に遊ぶ(方外の遊び)」
 一定の形式や道徳の枠を超えたところで行動する。
 わずらわしい世俗の礼などは、すべてうち捨てて顧みず、世俗の外にいて無為の業に身を任せるが良い。
 
$山田隆文の歯医者さん日記

 http://www.amazon.co.jp/中国古典名言事典-講談社学術文庫-397-諸橋-轍次/dp/4061583972
 中国古典名言事典 (講談社学術文庫)より。
 いかがでしょうか?

 <恐怖>の外に、自分自身を客観的に見つめられるようになると、「ねばならない」「失敗してはいけない」から自由になれるのですね。
 <感情>のお話もまたいつか。