きょうの「朝日新聞」9面。「朝日歌壇」。

■佐佐木幸綱選
丁寧に・適切に・全力で・速やかに 副詞の骸(むくろ)を連ねる首相
(東京都)十亀 弘史
花嫁の衣装を見てる新婦側顔だけ見てる新郎側客
(富士市)村松 敦視
■高野公彦・永田和宏共選
エサ用のメダカは一ぴき十五円食べられる日を知らずに泳ぐ
(奈良市)山添 聡介
■永田和宏選
理由なく辞めたわけじゃないあの時代パワハラという語がなかっただけだ
(東京都)上田 結香
■馬場あき子選
トンセージャ、カワラ、カラチャマ、イトキスという魚みな食べアマゾンを去る
(伊賀市)福沢 義男
カメムシがいたと夜更けに嫁騒ぐすぐ駆けつけるカメムシ助けに
(つくば市)山瀬佳代子

★★★
 十亀さんのお歌。まったくそのとおり。つ〜か。コトバみんなをムクロにしてんね、あの首相は。まあな。あの首相に限らず、政治家はみんなソレやってるけど。

 そのヘンのことを詠めり。

殺語罪そういう罪があったなら政治家みんなソレで逮捕だ

 村松さんのお歌。コレもそのとおり。アタシは新郎側客としてしか結婚披露宴に出たコトがねえが、そのときゃ「アイツこういうヒトが好みだったのか。ソレにしてもけっこうイケてんな。アイツにゃもってえねえ」と、ビール呑みながら思ってたからね。

 山添くんのお歌。小学生にしてこのキョウチ。芭蕉翁の「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉」に通ずるモノがあるね。

 上田さんのお歌。そうそう。むかしもいたんだよ。パワハラやるヤツは。アタシがむかしいた会社の社長なんざ、テメエのしくじりで会社が左前になったら、すぐ指名解雇にはしりやがったからね。

 まあね。こんときゃ会社が世話になってたフリーの編集さんが見かねて「指名解雇を撤回しないなら一斉就業拒否」てのを社長につきつける先頭に立ってくれたんで、指名解雇バナシはツブれたけどね。

 そのヘンのコトを優香もとい狂歌で。

日本の会社はどこも野ハラありパワハラセクハラそれにモラハラ

 福沢さんのお歌。さすがにピラニアは食べなかったようで。まあね。選者評によると、お歌に出てきた魚はみんな食用魚だそうだが、ピラニアはそうじゃねえだろうから無理ねえか。

 ちなみに。西原理恵子はアマゾン行ったときピラニアをカラ揚げにして食べたそうだが、小骨は多いやら身は少ないやらでうまくなかったとマンガで描いてたね。

 山瀬さんのお歌。もっともなこった。たぶんお嫁さんはカメムシを殺めようとしたんで、助けようとしたんでしょ。カメムシは臭えにおいを出すそうだが、臭えくれえはガマンのうちだよ。

 ソレでは虫と命で一首。

虫愛(め)づるその心根が大事だぞ虫の命を無視しちゃダメだ

 は? 「アンタね、何だかんだいってただのダジャレじゃないの」ですって?

 そういうコトいわねえの。ダジャレにゃちげえねえが、ちゃんと命の大切さも詠んでるでしょ?

 ソレじゃ今回はココまで。