きょうの「朝日新聞」11面。「朝日歌壇」。

■高野公彦選
麻生氏の鼻出しマスクをいつまでも糾(ただ)せぬ分科会の限界
(近江八幡市)寺下 吉則
■永田和宏・佐佐木幸綱共選
「逃げられる人はいいよ」と退陣のニュースに居酒屋店主はポツリ
(観音寺市)篠原 俊則
■佐佐木幸綱選
退陣の報でかでかと置き去りの拉致被害者が少しだけ映る
(生駒市)辻岡 瑛雄

★★★
 まずは寺下さんのお歌からネタをいただいて一首。

決まりゴト守れねえのが自慢かよヤイコラ麻生ソレはバカだぞ

 続いて篠原さん。おっしゃる通りで。

 きょう10月3日が「内閣総理大臣としての最後の1日」になる菅の腹黒、総理は辞めても国会議員は辞めねえ。

 そして。こんどの衆議院議員総選挙でもたぶん当選しちまうから、また国会議員。テメエの腹はさほど痛まねえ。いまの仕事がコケたらオシマイの民草と比べたら、まちがいなくジョウキュウコクミンだ。

 そのヘンで一首。

逃げるならカラダ一つで逃げやがれ議員バッジも外してけスガ

 辻岡さん。コレまたおっしゃる通りで。

 菅の腹黒も、その前に内閣総理大臣やってた安倍の晋公も、「拉致問題は最重要」といってたクセに、な〜んも変わってねえからね。だいたい。政治家が「最」とか「優先」とかつける話に、ホントにそう扱われたモンはあったためしがねえ。

 そのヘンのコトを都々逸で。

大事大事といってはいるがいうだけならばすぐいえる

 さて。政治家ネタはココまで。趣向を変えましょ。

■高野公彦・馬場あき子共選
友達と会えない二度目の夏が過ぎ少しカサカサしている私
(富山市)松田 わこ
■永田和宏選
縫いたてのブラウスで明日君に逢うおそらくそれがさよならになる
(横浜市)岡田 紀子

★★★
 オンナゴコロは傷つきやすく、そしてコワくもある。

 松田さん。そりゃカサカサもするでしょうね。たぶんお若いんだろうから、ワイワイガヤガヤやるかどうかは別として、友達に会えないのはツライわね。

 松田さんのお気持ちたあ違うが、相手がいねえてので一首。

ほかに行くトコがねえからしかたねえコーヒー屋行きバイトの娘(こ)見る

 いっとくけど、見てるだけだからね。

 岡田さん。サラッとコワいコト詠んでらっしゃる。

 頼むから、逢う「君」に、「コレ縫いたて」とおっしゃらねえでね。ソレやられると、その「君」、ヘタすっとしばらく立ち直れなくなるから。

 そう。「縫いたてのブラウス」てのを話したら、こういったのと同じになんだから。

「コレがワタシの『死装束』」

 まあね。ソレに気づかねえようなヤロウなら、別れてソンはしねえけど。

 さて。この道は得手じゃねえが、やってみっか。

ありがとうそういわれると困るんだやり直そうといいそうになる

 は? 「アンタにも、そういうときがあったんだね」ですって? 兄さん姐さん、アタシも生まれたときからいまみてえだったワケじゃねえの。

■高野公彦・永田和宏・馬場あき子共選
弟が時々見に来る五時間目ダイニングでするオンライン授業
(奈良市)山添  葵
■高野公彦選
じゃんけんできめるのぼくはきらいですだいたいお姉ちゃんがかつから
(奈良市)山ぞえそうすけ

★★★
 今週も、奈良の天才歌人姉弟にご登場いただきました。ホントにお見事。ダテに令和の御世の大伯皇女と大津皇子といわれてるワケじゃないね。いってるのはアタシだけど。

 アタシがホメてもしかたねえって声もあるだろうから、選者の評を引いておく。葵ちゃんのお歌についての永田和宏さんの評。

「葵ちゃん、姉の授業が気になる弟。姉弟の様子が生き生きと伝わる。『五時間目』が巧(うま)い」

 うん。やっぱりホンモノの歌人がおっしゃるコトは、アタシとは違う。違ってなかったらテエヘンだけど。

 ソレじゃ今週はココまで。