付き合って3年になる彼がいる。彼は私の友達とも付き合っていた。
その事を知った時、2人の関係がいつから?とか、きっかけは?とかどうでもよかった。
【裏切られたんだ】と、心が判断した。それだけで十分。
その怒りや悲しみはまっすぐ友達の方を向いた。彼が悪いはずなのに・・・
彼女の部屋にはたくさんの写真が飾られていた。
あの時、この時の大切な思い出が詰まったものばかり。
中でも懐かしい一枚を手にとる。
元の場所に戻そうとしたとき、床に落としてしまった。
「どうしよう、壊しちゃった。ごめん。」
と、ガラスの欠片を拾い集める。
「ケガするといけないから・・・私がやるから・・・」
と、彼女が慌てている。その時、見つけた写真に重なった写真。
その2ショットに驚いて、刻まれた日付を見て私は凍りついた。
3カ月前、彼女の誕生日。
“誕生日は家族で過ごす”と、一緒にお祝いできなかったあの日。
涙がぽろぽろと床に落ちる。彼女も何も言わずに泣いていた。
「どうして?」
私が口にした最初の言葉。
「ごめん。」
彼女の言葉。
「壊した写真立ては弁償するから。」
私は強がり、部屋を出た。彼女は泣きながら何かを言っている。
でも何ひとつ耳にも心にも届かなかった。
彼に裏切られたことは悲しかったけど、友達の裏切りがそれ以上に私を悲しくさせた。
長い時間がかかった。
悲しみや怒りが運んできた暗い想いと向き合い、乗り越えるまで。
そして今は思う。このことで人を信じられなくなったら、裏切りに負けた気がする。
勝ち負けじゃないけど、勝ち負けなんだ。
だから、私はやめない。それでも、人を信じることを・・・