老健から引き取った義父の荷物に

メモ帳がいくつかありました。


入所中に、メモ帳が欲しいと言う希望があり

何度か購入して届けていました。


そのメモ帳を開いてみると

朝ごはんに食べたものや便通についてなど

健康に関する内容が記されてあったり、

ほとんどが資産や相続に関する内容でした。


遺言のようにきちんとまとめて

書いてあるわけではなく

漢字がわからないのかカタカナも多かったり

自分が忘れないためにメモしていたようで

何度も何度も同じことが20回くらい。。



気になった箇所が2点。


義弟の名前の横には必ず

防衛省勤務

と書かれていました。


いやいや、実際は

無職のひきこもり

です。


もうひとつは、

経営しているアパートの

おおよその年間収入額。

義父が入所してから

代行していたからわかるけど

実際より随分と高い金額が

入る計算になっており


またその収入は

日頃のメンテナンスや

原状回復リフォーム費などで

結構な額が経費として

流れていくのだけど

まるまる溜まっていってる

計算になっていて

8000万円も貯金があることに

なっていました。笑。


さらにそのお金で

もう1棟アパートを

建てる意気込みまで

書かれていました。


現実は、全くそれどころではなく

代行し始めた時には

10室中空室が3室あったし


入居者の3人が滞納しまくりで

収支はさんざんな有様。



でも、その現実とは違う事実を

何度も何度もメモしていたようです。



これは、理想だったのかな?と

調べてみると


作話(さくわ)だと知りました。


    

「作話」とは、認知症の患者が現実のギャップを埋めるために、自分なりの物語を作り上げてしまう現象です。本人はその作話を現実と信じて話すことが多く、これは本人にとって非常にリアルなものです。このような行動は、アルツハイマー型認知症や他の認知症タイプでよく見られます。


義弟のことにしてもアパートのことにしても

義父自身の中で理想と現実のギャップがあり

本人の望む理想像が過去の記憶と混ざり合って

現実とは異なる状況を語っている

ということらしい。



確かに、15年くらい前までは

義弟のお嫁さんを諦めていないような話を

よくしていて、そうこうするうちに

義弟より6歳年下の私の弟が結婚し

おめでとうもなく憤慨して

皮肉をたくさん言われたのを覚えています。



アパートにしても、先程書いた通りで

義父は私には強気で嫌味をよく言う人でしたが

アパート居住者に家賃の督促をするのは

苦手だったようで...

情けないことに一人においては

数百万も滞納され続けていました。


そんな経営で8000万円も

溜まるわけがない。。



本人の望む理想と

あまりに違いすぎる厳しい現実は

過度なストレスとなって

認知症を引き起こす直接的な

要因になるとのこと。



アパート問題は義父自身の頑張りによっては

もう少しどうにかできたのかもしれないけど


義弟に関しては義父が一人で

どうこうできる問題というわけでもないので

ちょっと切なくなりました。


その義弟は、義父が老健に入る前の二ヶ月、

「地獄のようだったけど、

あの時のボクの辛さは誰にもわからない。

お父さんがボクを面倒みていたのではなく

ボクがお父さんの面倒をみていたんだ。」

と夫に言い放っていました。


40歳過ぎても80歳過ぎた父の扶養に入り

家事も全てまかせてひきこもっているのに。


自分が認知症の要因のひとつだったかも...

と知ったら、もう少し変わるのだろうか?


適応障害という精神障害を抱えているので

追い詰めてしまうようになることは言えず

こちらもモヤモヤしっぱなしなので

義弟のサポートを私は逃げ腰です。