「これからワープ走行をしなけれぼなりません。乗換えをします。」
真上には、巨大な乗り物が現われた。これが、母船なんだぁ…。フロントガラスモニターに映し出されている乗り物がどうやら母船なのだろう。私達が乗っている軽自動車の前方座席位しかない大きさの宇宙船は、みるみる母船に吸い込まれていった。
乗っていた宇宙船から降りると、そこには同じような宇宙船が何機も停泊していた。
透明な筒の中をワイヤーのない透明な乗り物が上下していた。きっと無重力装置を使ったエレベーターなんだろう。
「そう。地球に無重力装置が完成した暁には、宇宙航行するための地図が必要になるのです。地球を起点とした宇宙航行地図の作成をしなければいけません。人工星以外は整った形をしていません。その星の形を3D画像として記録していかなければいけないのです。誤差が生じるとワープ走行した先で大変危険な状態になります。例えば、星の中に到着してしまったら、地中成分にもよりますが、機体の維持は難しいでしょう。」
ん?言葉にしていないのに、考えた事の返事と未来計画まで答えていた。そもそも、今まで言葉ではない心で想った事を伝え合っている不思議なコミュニケーション方法を使っていた。これがテレパシーなのかもしれない…。
ファーン ファーン ファーン
「ワープ走行!全員規定の位置配備!!」
ファーン ファーン ファーン
「ワープ走行!全員規定の位置配備!!」
ファーン ファーン ファーン
「ワープ走行!全員規定の位置配備!!」
金髪美女に連れられて、慌ててエレベーターに乗り込んだ。小走りで、ワープのための椅子まで辿り着いた。
まるで、松本零士のアニメ『宇宙戦艦ヤマト』で見たような光景。前面一面に映し出されている漆黒の宇宙空間と無機質な星々が不気味とさえ感じた。
「瞑想得意ですよね?」
「はい。毎日、瞑想していますので…」
「良かった。瞑想状態でワープに入って下さい。」
「三次元の壁を越えるには、四次元以上の意識が必要だから。」
私は背筋を伸ばし深呼吸を繰り返し、深い瞑想状態に入っていった。
ファーン ファーン ファーン
「ワープ20秒前、20.19.1817....5.4.3.2.1.GO!」
蹴たたましく響き渡っていた音も、私の意識には入って来ていなかった。